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2014年11月07日09:38

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米中間選挙で民主党大敗、わが国は改憲と国家再建が急務

 11月4日に行われた米国の中間選挙で、与党民主党が大敗した。野党の共和党が上下両院で過半数を制して圧勝した。共和党は2年前の選挙で過半数を占めた下院で、議席を大幅に増やした。上院では、非改選の議席と合わせて8年ぶりに多数派に復帰した。躍進が予想されてはいたが、ここまでの議席数を取ったのは、大方の予想外だった。
 6日の共同通信の記事は、米国主要紙の報道を次のように伝えた。ワシントン・ポスト紙の社説は「共和党はもはや狭量な野党ではいられない」と論じ、中東の過激派や経済問題などで「誠実」な対応を促した。ニューヨーク・タイムズ紙も「消極的な勝利」とする社説で、共和党が積極的に評価されたというよりオバマ大統領の不人気が色濃く反映した結果と分析した。ロサンゼルス・タイムズ紙は、共和党がレームダック(死に体)のオバマ氏に戦いを仕掛けるだけでは国民の願いに応えられないと指摘した。
 一方、わが国の主要な新聞の社説の論調を見ると、まず民主党の敗因については、読売新聞は「国内の経済格差の拡大や、成果に乏しいオバマ外交への国民の不満や失望が強かった。これらが共和党への消極的な支持に回り、民主党の多数の現職議員が落選した」と書いた。産経新聞は、「経済指標が改善される中での与党民主党敗退の要因は、大統領の指導力不足で国民の不安が全般に増したことに尽きる。40%前後と低迷する支持率にも示される」と述べた。毎日新聞は、「民主党というよりオバマ政治への不満だろう」とし、日本経済新聞は「民主党は大統領の地元州で現職知事が落選するなど政権の不人気がもろに響いた」と指摘した。
 今後のオバマ政権及び米国政界については、読売は「民主党が上院の支配を失ったことにより、法案の審議・成立は一段と困難になる。オバマ氏は厳しい政権運営を迫られよう」と予想。毎日は「懸念されるのは、政争激化による超大国の迷走だ」「今後は上下両院の『ねじれ』が解消される一方で、連邦議会とホワイトハウスの『ねじれ』が政治の停滞に拍車をかけ、『(大統領に)決めさせない政治』の傾向が強まりそうだ」と述べ、日経は「大統領が一段と難しい政権運営を迫られるのは確実で、世界は盟主不在の様相を濃くする」「今後の米政界は2年後の次期大統領選をにらみ、民主党と共和党の不毛な泥仕合が続きそうだ。オバマ大統領が共和党との融和にかじを切る可能性は低いとみられており、『決まらない政治』のもとで、米国民の内向き志向はさらに強まっていくに違いない」と書いた。

 各紙、米国の内政・外交の課題とわが国の対応についてもいろいろ書いているが、目を引いたのは、TPP交渉の早期決着を求める主張が多いことである。
 産経は「共和党と協力すべき分野には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)もある。本来、自由貿易推進派の共和党は、今回の躍進を法整備につなげてほしい」と米国側への期待を述べる。日経は「米国の国力の衰えを補うため、日本は地政学的に共通点のあるフィリピン、ベトナム、オーストラリアなどと手を携え、どうすればアジアに安定をもたらせるかを真剣に模索するときだ。その意味で重要になるのが環太平洋経済連携協定(TPP)交渉である」「日本は交易の活性化こそが米国の利益につながると説き、早期の交渉妥結を促すことが大切だ。同時に日米同盟の強化などTPPが持つ幅広い効果を念頭に大局的な観点から妥協点を探るべきだ」と主張した。読売は「TPPには、日米両国の主導で新しい貿易・投資ルールを作り、中国の覇権を抑止する戦略的な目標がある。米国は、その大義を思い起こしてもらいたい」と、中国の覇権抑止がTPPの「大義」だと書いている。
 今回の米国中間選挙の結果から予想されるのは、米国の国内的な求心力と国際的な指導力の低下であり、それによる米国及び世界の混迷の深まりである。わが国がこうした状況に対応するために最も急務なのは、憲法の改正とそれによる国家の再建である。それなしには、国民の力の結集も、国防の強化も、アジアの安全保障の確立も、なしえない。ところが、わが国の代表的な全国紙である読売・産経・日経は、そのことには一言も触れていない。これら3紙が必要性を主張するのは、TPPの早期妥結なのである。
 私は、TPPはわが国にとって多くの問題を孕んでおり、米国への妥協は大きく国益を損なうと懸念する者である。わが国を代表する新聞社が「日米同盟の強化などTPPが持つ幅広い効果」「中国の覇権を抑止する戦略的な目標」等と安全保障上の観点からTPPの早期妥結を求める主張をしているのは、どうかと思う。TPPと国家安全保障は、基本的に別の問題である。国家安全保障は、それ自体として強化すべき課題であり、安全を金で買うために、米国の突きつける条件を安易に飲むようなことをしては、国の根本的なあり方を誤る。
 アメリカ主導のTPPは、グローバリゼイションの論理にによって、日本社会の大幅なアメリカ化を進める内容となっている。わが国は、中国に軍事的に支配されることを避けるために、米国への属国的な状態をいっそう徹底されることになってはならない。わが国は改憲と国家の再建を断行しない限り、米国へのさらなる従属の道か、中国の暴力的な支配に屈する道か、いずれかになる。マスメディアは、本来そのことを国民に啓発しなければならない。
 大東亜戦争の敗戦後、わが国が独立を回復した昭和27年(1952)以後、米国の衰退と中国の台頭が長期的に予想されてきた。米国はいよいよ衰退の色を濃くしている。中国はますます暴虐の相を露わにしている。改憲とそれによる国家の再建が遅れれば、日本丸は時代の転換期の大波を蒙る。デモクラシーの政治体制では、国民は自らの運命を自らの意思で選択しなければならない。運命を切り開く選択は、自らの手で憲法を改正することである。
 以下は、各紙の社説。

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●読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20141105-OYT1T50199.html
米中間選挙 オバマ氏は「ねじれ」克服図れ
2014年11月06日 01時21分

 オバマ米大統領には、手痛い敗北である。拡大した政権と議会のねじれをいかに乗り越えるか。その手腕が試される。
 米国の中間選挙で、野党の共和党が勝利し、上下両院で過半数を制した。下院で議席を大幅に増やし、上院では8年ぶりに多数派に復帰した。
 中間選挙では伝統的に政権与党が逆風を受けやすい。今回も、国内の経済格差の拡大や、成果に乏しいオバマ外交への国民の不満や失望が強かった。これらが共和党への消極的な支持に回り、民主党の多数の現職議員が落選した。
 民主党が上院の支配を失ったことにより、法案の審議・成立は一段と困難になる。オバマ氏は厳しい政権運営を迫られよう。
 しかし、米国の影響力がさらに低下し、世界を不安定化させることは避けねばならない。
 オバマ氏と共和党は、共に歩み寄り、政治の停滞を回避する共同責任を負っている。
 選挙戦は2016年大統領選の前哨戦の色彩も帯びた。不人気なオバマ氏に代わり、民主党候補の応援に飛び回ったのはヒラリー・クリントン前国務長官だった。共和党の候補選考も本格化する。
 オバマ氏は今後2年間、レームダック(死に体)化との戦いが続く。思い切った人事で政権の政策遂行体制を立て直し、山積する課題に取り組む必要がある。
 内政では、財政赤字の削減や最低賃金の引き上げが急務だ。
 外交では、中東で勢力を拡大する過激派組織「イスラム国」の掃討や、ウクライナ東部の紛争の平和的解決、エボラ出血熱対策で米国の指導力が求められている。
 中国が台頭する中、米国のアジア政策の行方が注目される。
 ヘーゲル国防長官は、国防費が削減されても「アジア重視政策は影響されない」と明言している。言葉通りの対応を期待したい。
 難航する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の打開も急がれる。自由貿易を推進する共和党の議会支配により、大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案の成立が早まる可能性はある。
 ただ、共和党内には、日本の農産品市場の全面開放を求める声も強い。中間選挙が終わった今、オバマ氏は、過激な対日強硬論を抑え、現実的な妥協点を見いだすことに全力を挙げるべきだ。
 TPPには、日米両国の主導で新しい貿易・投資ルールを作り、中国の覇権を抑止する戦略的な目標がある。米国は、その大義を思い起こしてもらいたい。

2014年11月06日 01時21分 Copyright c The Yomiuri Shimbun

●産経新聞

http://www.sankei.com/column/news/141106/clm1411060003-n1.html
2014.11.6 05:04更新
【主張】
米共和党圧勝 大統領は大胆に協調図れ

 米中間選挙で野党共和党が上下両院を制し、圧勝した。オバマ大統領は有権者の厳しい審判を重く受け止めて共和党との協調姿勢に転換し、残る任期2年で重要懸案の解決に努めるべきだ。
 医療保険制度改革をめぐる昨年の激しい与野党対立は、予算成立の遅れから政府機関の一部閉鎖という事態を招いた。こうしたことが「強いアメリカ」の力をそぐことにもつながっていよう。
 次期大統領選に向け、対立を超えて「決められない政治」を脱すべき共和党の責任も重い。
 経済指標が改善される中での与党民主党敗退の要因は、大統領の指導力不足で国民の不安が全般に増したことに尽きる。40%前後と低迷する支持率にも示される。
 米国人を公開で殺害したイスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国」は、身近な脅威に急浮上した。だが、イラク、シリアでの同組織掃討作戦は、シリア介入を避けてきたこともあり、後手に回った印象がある。空爆に限定せず、作戦の強化を図るなら、議会との協力は不可欠だろう。
オバマ政権が力を入れるイラン核問題の包括解決は、24日に同国と欧米など6カ国の交渉期限を迎える。政権側はこれは多国間協定で条約ではないとして、妥結しても上院に諮らずに制裁を解除する構えをみせる。だが、共和党の同意なしには決着させられまい。
 共和党と協力すべき分野には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)もある。本来、自由貿易推進派の共和党は、今回の躍進を法整備につなげてほしい。
 政府に強い通商交渉権限を与える大統領貿易促進権限(TPA)法案は、これまで反対してきた上院の民主党が賛同に転じれば、成立する見通しが立つ。交渉促進の好機を作ってもらいたい。
 中国牽制(けんせい)を狙いとするアジア重視政策もお留守になっては困る。日本もより大きな責任を果たすため、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の年内改定で、米国の対中抑止を支える必要がある。
 政権と議会との風通しをよくする上で、オバマ氏の脱側近政治と幹部刷新も当然だ。ブッシュ前大統領も中間選挙敗北を受け、国防長官を交代させて米軍を増派し、最後にイラクを安定化させた。
 大胆にかじを切り、実りある成果を手にできるかどうかは、ひとりオバマ氏にかかっている。

●毎日新聞

http://mainichi.jp/opinion/news/20141106k0000m070110000c.html
社説:米中間選挙 超大国の迷走が心配だ
毎日新聞 2014年11月06日 02時31分

 民主党というよりオバマ政治への不満だろう。米国の中間選挙は野党の共和党が上院でも過半数を制し、連邦議会の上下両院を支配して大統領と対峙(たいじ)する構図となった。残る任期が2年余りのオバマ大統領にとって足場が揺らぐ敗北であり、指導力の低下、レームダック(死に体)化が急速に進行する恐れもある。
 懸念されるのは、政争激化による超大国の迷走だ。前回2010年の中間選挙では民主党が下院で60議席以上減らして少数派に転落し、同党が多数を保った上院との「ねじれ」が生じた。そんな政治情勢を背景に、昨秋は予算執行ができずに政府機能が一時止まる異常事態となった。
 「決められない政治」も恒常化した。今後は上下両院の「ねじれ」が解消される一方で、連邦議会とホワイトハウスの「ねじれ」が政治の停滞に拍車をかけ、「(大統領に)決めさせない政治」の傾向が強まりそうだ。たとえば不法移民の市民権取得を可能にする移民法改正案は昨年、下院共和党の反対で廃案となったが、この種の改革が今後実現することは考えにくい。銃規制も同様だ。
 既に成立した医療保険制度改革(オバマケア)も、共和党内には白紙撤回をめざす動きがある。1999年、共和党主導の上院は、民主党のクリントン大統領がいち早く署名した核実験全面禁止条約(CTBT)の批准を否決し、大統領の体面を失わせた。同様の「造反」が今後、起きないとも限らない。
 大統領と議会の「ねじれ」は過去にもあったが、共和党の「オバマ嫌い」は際立っている。オバマ大統領が掲げた「一つの米国」や「チェンジ」はどんどん色あせていくようだ。16年の大統領選に向けて米国政治が党派性を強めるのも分からないではないが、世界のリーダーとしての責任と理想を忘れてはなるまい。
 冷戦終結から四半世紀。ロシアのウクライナ介入や中国の海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発も含めて、世界は不穏な要素をはらむ。過激派組織「イスラム国」やアフガニスタンのイスラム武装組織との戦いは言うに及ばず、米国の動きは国際秩序にも日本の安全保障にも、大きく影響する。こと国際問題では米国の結束と責任ある対応を望みたい。
 オバマ大統領はリーマン・ショック後の米国経済の立て直しやイラク、アフガンでの戦争の幕引きに努めるなど一定の業績を上げた。にもかかわらず支持率が低迷し議会選挙でも勝てないのは、持ち前のクールな態度に米国民がなじめないためだろうか。オバマ氏にも反省点は多々あろう。敗北から謙虚に学び、残る任期中に後世へ手渡すレガシー(政治的功績)を築いてほしい。

●日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO79345250W4A101C1EA1000/
オバマ政権の失速にどう向き合うか
2014/11/6付 記事保存

 米オバマ政権の残る2年間の任期の行方を左右する中間選挙で、与党の民主党が大敗を喫した。大統領が一段と難しい政権運営を迫られるのは確実で、世界は盟主不在の様相を濃くする。日本外交は細心の取り組みが求められる。
 中間選挙で最も注目された連邦議会の上院選は、共和党が非改選と合わせ過半数を奪回した。同党が上下両院の多数を同時に占めるのは8年ぶり。民主党は大統領の地元州で現職知事が落選するなど政権の不人気がもろに響いた。
 民主党が4年前に下院の過半数を割った時点でオバマ政権の政策遂行力は陰りが出ていたが、省庁幹部の任免を左右する権限がある上院の多数も失い、人事による政権てこ入れの道もふさがれた。失速感は覆い隠しようがない。
 今後の米政界は2年後の次期大統領選をにらみ、民主党と共和党の不毛な泥仕合が続きそうだ。オバマ大統領が共和党との融和にかじを切る可能性は低いとみられており、「決まらない政治」のもとで、米国民の内向き志向はさらに強まっていくに違いない。
 グローバル経済に不安定要因が生じた場合などでオバマ政権は指導力を発揮できるのか。先行きを不安視する声は米国内にも多い。
 オバマ政権の失速にどう向き合えばよいのか。日本が注目すべきは、通商を含めた外交政策の行方だ。オバマ大統領は2009年に大統領として初来日した際、アジア回帰を打ち出した。だが、財政難による軍事費削減などの影響もあり、台頭する中国を上手に抑え込めているとは言いがたい。
 米国の国力の衰えを補うため、日本は地政学的に共通点のあるフィリピン、ベトナム、オーストラリアなどと手を携え、どうすればアジアに安定をもたらせるかを真剣に模索するときだ。
 その意味で重要になるのが環太平洋経済連携協定(TPP)交渉である。保護貿易に傾きがちな民主党が後退したことで、オバマ大統領は米議会での承認を得やすくなったとの見方もあるが、議員の賛否は選挙区事情に左右される面が大きく、予断を許さない。
 日本は交易の活性化こそが米国の利益につながると説き、早期の交渉妥結を促すことが大切だ。同時に日米同盟の強化などTPPが持つ幅広い効果を念頭に大局的な観点から妥協点を探るべきだ。
 オバマ政権の退潮を世界の混迷につなげない外交努力が必要だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

関連掲示
・拙稿「オバマVSロムニー〜2012年米国大統領選挙の行方」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12m.htm
・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08c.htm

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