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2014年08月26日08:42

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現代世界史28〜ロシアのクリミア併合

●ロシアのクリミア併合で冷戦時代に逆戻りか

 2014年(平成26年)3月、ロシアがウクライナのクリミア半島を併合するという大事件が起こった。冷戦終結後、初めての本格的な武力による現状変更の動きである。
 冷戦終結後、欧米勢力は旧ソ連圏の独立国家共同体(CIS)で影響力を強めてきた。その影響のもと、2003年(平成15年)グルジアでの「バラ革命」、04年ウクライナでの「オレンジ革命」、05年キルギスでの「チューリップ革命」等、民主化を求める政治運動が起こった。
 当時のアメリカは、共和党のブッシュ子政権の時代であり、ネオコンが政権を動かしていた。2003年(平成15年)のイラク戦争でサダム・フセイン政権を打倒したブッシュ子大統領は、中東民主化構想を提唱した。同時にCIS諸国の民主化勢力を支援した。その結果、グルジア、ウクライナ、キルギスで独裁政権が倒れて民主化が行われた。CIAが資金と情報を提供したと言われる。地政学的な戦略によるロシアへの対抗であり、また石油・天然ガスの確保の布石でもあるだろう。
 これに対し、ロシアは安価なエネルギーの提供や政治的な権謀術策を用いて、周辺諸国の民主化及びロシア離れを抑止しようとしている。なかでもウクライナは、ロシアにとって絶対勢力下に置くべき重要地域である。そのため、ロシアと欧米勢力との綱引きが続いている。冷戦終焉後、ウクライナの東部はロシアとの関係を深め、西部はヨーロッパとの関係を発展させている。またウクライナは、南部にあるクリミア半島を中心に、西方・東方のユダヤ=キリスト教文明とイスラム文明が接触し、重なり合う地域でもある。
 2004年(平成16年)のオレンジ革命では、大統領選挙の不正が糾弾され、再選挙の結果、親欧米派の元首相ユシシェンコが親露派のヤヌコビッチ首相を破った。ユシシェンコは選挙期間中、ダイオキシンによって毒殺されかかった。オレンジ革命は、ヨーロッパとロシアに挟まれたウクライナが、EUやNATOに加わるのか、天然ガス等のエネルギーを依存しているロシアとの関係を堅持するのかという選択を迫らる中での出来事だった。
 ウクライナでは親欧米派政権のもとで、失政が続き、民衆の支持は低下した。ヤヌコビッチは2010年の大統領選挙に立候補し、女性首相ティモシェンコを破って政権を握った。ウクライナは2013年にEUとの政治・貿易協定の仮調印を済ませたが、ヤヌコビッチは調印を見送った。これに対し親欧米的な野党勢力から強い反発が起こった。2014年(平成26年)年2月下旬、首都キエフや西部における大規模な反政権デモによって、政変が起こった。親露派のヤヌコビッチは国外に逃亡し、ロシアの保護下に入ったと見られる。ウクライナ議会はヤヌコビッチの大統領解任を決議した。だが、ヤヌコビッチはクーデタだとして辞任に同意せず、ロシアのプーチンはクリミアの軍事制圧をヤヌコビッチの要請によるものだと正当化した。
 親欧米的な暫定政権が誕生すると、プーチン政権のロシアは、ウクライナのクリミア半島南部を実効支配した。3月7日クリミア自治共和国の議会がロシアへの編入を決議した。これを受けて、同月18日、ロシアはクリミア半島南部を併合した。
 ロシアはクリミアでの権益を確保しつつ、キエフの暫定政権に圧力をかけている。米欧諸国は、ロシアをG8からはずし、外交的経済的な制裁を行っているが、西欧諸国はロシアに天然ガスを大きく依存しており、必ずしも積極的ではない。ウクライナ東部では、武装した新露派がドネツク州、ルガンスク州で独立を宣言し、ウクライナ軍と衝突を繰り返している。   
 そうしたなかで、7月17日ウクライナ東部上空を飛行中のマレーシア機が撃墜された。乗客・乗員298人が犠牲になり、犠牲者の多くは、オランダ・ドイツ等のヨーロッパ人だったと報道された。親露派による攻撃であり、ロシア製地対空ミサイルBUKが使用されているとして、ロシア側の関与が疑われている。この事件によって、欧米諸国はロシアへの態度を硬化させた。ロシアは、これに対する報復措置を講じている。ロシアのクリミア併合をきっかけに、世界は冷戦時代への逆戻りの様相を呈している。

 世界は、米国の衰退により、一極支配体制が崩れ、多極分散の傾向が強まっている。その中で急速に強大化している中国が、米国と世界的な規模で覇権を争う形勢となっている。今後、対立・抗争が激化すれば、世界は冷戦ではなく再び熱戦すなわち世界戦争へと向かう可能性を孕んでいる。人類は第2次世界大戦後、多くの国が核兵器を開発・保有し、さらに核技術が高度化し、また拡散しつつある。核による第3次世界大戦という最悪の事態に至れば、人類のほとんどは死滅し、地球上の生物の7割も死滅する恐れがある。
 こうした愚かな悲劇を避けるには、人類が地球で共存共栄できる指導原理が共有されねばならない。その指導原理を体得・普及し得る国は、文明学的に見て、日本以外には存在しない。それゆえ、日本人の使命は重大である。万が一、日本が中国等の属国になれば、共存共栄の指導原理を広げうる国がなくなり、地球は抗争・強奪・破壊の修羅場と化し、荒廃を極めることになるだろう。

 次回に続く。
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