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2014年07月18日08:43

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イラクが過激派武装組織の進撃で内戦状態に7

●米国の中東専門家の予想

 ウェイン・ホワイト元米国務省情報調査局分析官(中東担当)は、イラク情勢について、わが国の中東専門家に比べ、格段と豊富な情報と詳しい分析を行っている。国家が持つ情報調査機関の水準の違いだろう。産経新聞平成26年7月5日のインタビュー記事で、ホワイト氏は次のように語っている。
 「イラクは非常に大きな危機にある。宗派、民族間の亀裂が先鋭化しており、イラクがスンニ派の西部・北西部・北部、クルド人の北東部、シーア派の東部・南東部に分割された場合、さらに深刻な問題が生じる。
 それぞれの地域には、宗派と民族が複雑に混在する場所がいくつもある。そこで例えばシーア派がスンニ派を押し出したとすれば、対立が激化する。また、スンニ派の地域は石油がなく農村も貧しいが、クルド人地域は石油が豊富で、山脈からの水にも恵まれている。
 従って、3分割されれば経済格差が拡大し、スンニ派地域では過激主義が助長されるだろう。さらにチグリス、ユーフラテス川はスンニ派地域を通っており、スンニ派は上流のダムを押さえ、シーア派地域へ流れる川の水の供給を止めることができる。
 イランは、スンニ派過激派組織『イスラム国』を押し返すようマリキ政権に要求し、できなければ革命防衛隊を戦闘に投入し、喜んで爆撃もするだろう。マリキ政権もイランの支援を必要としている。
 クルド人は、イスラム国の勢力がイラク国内で固定化されることを望んでいない。トルコもイスラム国という怪物が国境を脅かすことを懸念している。トルコはクルド人を支援し協力するだろう。ヨルダンも国境を脅かされており、イスラム国の粉砕を望んでいる。
 一方、サウジアラビアは国家としてイスラム国に資金を援助していないが、裕福な個人が支援している。
 だが、国家樹立を宣言したイスラム国が、最高指導者アブバクル・バグダーディを『カリフ』としたことで、援助の『蛇口』を閉めるかもしれない。スンニ派のワッハーブ主義に基づく厳格なイスラム教義を奉じるサウジアラビアは、バグダーディが『カリフ』を名乗るのに反対するだろう。
 イスラム国との戦闘は、来年までもつれ込むことが予想される。それは北部ティクリートでのイラク軍による奪還作戦の困難さをみてもわかる。イスラム国はイラクから去るまい。米国は明日にでもF16戦闘機をイラク軍に引き渡せるが、パイロットを訓練するには時間がかかる。
 米国は前線に兵を送ってはならない。イラク軍にはシーア派の反米分子とつながっている連中もおり、危険で人命が失われる。無人機による攻撃が望ましい」と。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140705/mds14070509010002-n1.htm
 記事の内で、サウジアラビアの裕福な個人が「イスラム国」に資金援助していると述べているが、アルカーイダの指導者オサマ・ビンラディンは、サウジアラビアの富豪の一員だった。スンニ派の一部が、米国やイランに対抗するために、過激派国家ISに助力しているとしたら、飼い犬に咬まれることになりかねない。
 私としては、上記のような分析とは別に、南シナ海・東シナ海で覇権を獲得しようとする中国や反米的な外交を行う北朝鮮が、直接間接にISを支援し、米国を中東地域で苦しめることで、自分たちの野望を達成しようとすることもあり得ると考えている。

●中東と世界平和

 中東に石油の多くを依存するわが国としては、中東という国際関係の一つの焦点に目を向けつつ、厳しい現実社会の中で、国益の追求と国際平和への貢献を進めていく必要がある。
 中東に平和をもたらすことができないと、世界平和は実現しない。平和維持を維持するための国際的な機構や制度を作っても、中東で紛争が続いていいると、中東の対立・抗争の渦に世界全体が巻き込まれる恐れがある。最悪の場合は、中東諸国が核兵器を使用し、それをきっかけに第3次世界大戦へと至る可能性もある。
 いかに中東で平和を実現するか。ユダヤ教とイスラムの争い、イスラムのスンニ派とシーア派の争い、ユダヤ人・アラブ人・イラン人・クルド等の民族間の争い等を収め、地域の共存共栄を実現する道が求められている。私は、そうした共存共栄を可能にする原理が、日本精神に内在していると考えている。宗教・思想・文化等の相違を超えて諸国・諸民族が調和できる世界のあり方を示しうる日本になることが、わが国としての世界平和への貢献の道である。同時にそれが、日本が世界の中で平和と繁栄を確保する道でもある。(了)
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