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2014年05月25日06:30

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荒れる南シナ海と米中のせめぎ合い3

●アジア各国での米国外交の成果

 オバマ大統領は、4月23日から28日かけて、日本・韓国・マレーシア・フィリピンを歴訪した。そこで何が話し合われ、何が決まったか。

 まずわが国においては、オバマ大統領は安倍首相と会談し、日米共同声明を発表した。声明は、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲に含まれるとした。米国は「最新鋭の軍事資産を日本に配備してきており、日米安保条約の下での関与を果たすために必要な全ての能力を提供している」と同盟上の誓約を確認した。このことは、中国に対する抑止になる。また声明は、クリミアを併合した「ロシアの違法な試み」を非難した。このことは、尖閣諸島等の奪取を狙っている中国への牽制となった。また声明はまた東シナ海及び南シナ海への領土拡大を進める中国を批判し、同時に中国の一方的な防空識別圏設定を批判した。
 なかでも尖閣諸島が日本の施政権下にあり、日米安全保障条約第5条の適用範囲にある、とオバマ大統領が米国大統領として初めて明言したことは、非常に重要な発言だった。同趣旨の発言はすでに、米国務長官、国防長官、また議会有力者等が行ってきたが、大統領が発言したことは重みが違う。
 日米共同声明及びオバマ大統領の発言は、中国への批判を避けてきた米国の方針が大きく変わったことを意味する。ただし、オバマ大統領は日米首脳会談でありながら、中国を「世界にとって非常に重要な国」と会見で繰り返していた。中国を刺激しないよう、中国に配慮した発言である。米国はあくまで自国の国益を中心に外交を行っているのであって、状況次第でいつまた政策を転換するか分からない。米国に過度の期待を寄せ、生存と安全を依存するべきではない。日本人が自ら国を守る、その意志を持ち、具体的に防備したうえで、同盟国と連携・協力するというのが、基本的な姿勢でなければならない。

 次に、韓国では、オバマ大統領は朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談した。4月16日全羅南道の珍島沖合で、旅客船「セウォル号」が事故により沈没し、死者・行方不明者300名以上という大惨事が起こり、朴大統領の責任を問う声が上がっている中での会談となった。
 オバマ大統領は、4回目の核実験を強行する可能性がある北朝鮮に関し、米韓同盟を守るためには武力行使も辞さない、と発言した。韓国防衛のための戦時統制権を予定通り平成27年(2015)に米軍から韓国軍に移管する件については、保留した。米国はかつて朝鮮半島で大失敗をしている。昭和25年(1950)、北朝鮮の侵攻により朝鮮戦争が勃発したのは、アチソン国務長官が、「米国が責任を持つ防衛ラインは、フィリピン・沖縄・日本・アリューシャン列島までであり、それ以外の地域は責任を持たない」と発言し、朝鮮半島に言及しなかったことが誘因となった。現在、北朝鮮は、核・ミサイル開発を推進しており、また冒険主義的で挑発的な言動を繰り返している。北朝鮮が今の体制のまま、米軍が戦時統制権を韓国軍に移管することは、リスクを伴う。それゆえ、本件が保留されたのは、東アジアの安定のために有益である。
 残念だったのは、オバマ大統領が、旧日本軍の慰安婦問題について「恐るべき人権侵害の行為だ」等と発言したことである。米国大統領が公の場で慰安婦問題について、このように踏み込んだ発言をしたのは初めてだった。しかも、韓国首脳と行った共同記者会見におけるものゆえ、その発言は重い。韓国側は、オバマ発言を政治的・外交的に利用してくるだろう。韓国は中国と連携して、反日攻勢を強めている。そのただなかでの発言ゆえ、日韓関係の融和ではなく、悪化に作用するだろう。

 次回に続く。
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