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2014年05月22日08:44

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荒れる南シナ海と米中のせめぎ合い2

●アメリカの対中政策転換の経緯

 アメリカはなぜ対中抑止に舵を切ったのか。昨年秋、中国人民解放軍は、大規模な軍事演習「使命行動2013」を行い、その一部として尖閣奪取の大掛かりな訓練をした。
 一昨年9月にわが国が尖閣諸島3島の国有化を発表して以来、尖閣周辺での中国公船の活動は常態化した。昨年秋までの約1年間、平均して海警局の公船による接続水域進入は週7日のうち5日、領海侵入は6日に1日に上っていた。そういう状況において、人民解放軍は、尖閣奪取の大規模訓練を行ったのである。
 この大規模演習は、本年2月18日USNIニュース電子版に掲載された記事で明らかにされた。USNIは、United States Naval Institute(米国海軍研究所)の略称である。記事は、太平洋艦隊情報副部長のジェームズ・ファネル大佐が、2月13日にカリフォルニア州で開催されたシンポジウムで行った発言を伝えた。大佐は、中国軍の大規模演習を分析した結果、「人民解放軍には、東シナ海で日本の部隊を撃破する“電撃的な戦闘”を遂行できるよう、新しい任務が与えられている」と述べた。狙いは「尖閣諸島、さらに琉球諸島南部の奪取である」という。また大佐は、中国が南シナ海全域に領有権を主張する「九段線」に触れ、「海域に対する支配を徐々に強めていこうとする行動の表れ」だと強調した。
 大規模演習には、台湾正面を受け持つ南京軍区の1万7千人を中核に、広州軍区、東海艦隊、南海艦隊などから計4万人が動員された。兵力投射、火力運用、軍民連携による後方支援を展開したという。
 昨年秋と言えば、11月23日中国政府は沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海に「防空識別圏」を一方的に設定した。圏内で国防省の指令に従わない航空機には「武力で防御的な緊急措置」を取ると警告した。日本政府は「わが国固有の領土を含み、全く受け入れられない」と抗議し、ケリー米国務長官も「東シナ海の現状を変えようとする一方的な行動だ」と非難した。同月バイデン副大統領が訪中し、防空識別圏設定に関して中国要人と議論した。副大統領の帰国後、オバマ政権の外交・国防チームは中国の脅威に厳しく対応すると決定した。
 今年に入ると、1月末にメディロス国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長が厳しい対中批判を行った。2月初めには、ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が、下院外交委アジア太平洋小委員会で、ファネル大佐の発言を引用した証言を行った。尖閣を含む防空識別圏の一方的な設定と、「九段線」という根拠のない領有権主張を批判した。
 ファネル発言、それに続く政府高官の中国批判は、今回のオバマ大統領のアジア歴訪につながるものだろう。アジア歴訪における大統領の言動は、中国による「使命行動2013」が現実となることを防ぐために、米国と地域諸国の連携・協力を強化し、抑止力を高めるものとなったと言えよう。

 次回に続く。
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