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2014年05月06日08:37

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商船三井が中国側に和解金40億を支払った

 日中戦争勃発前年の1936年に商船三井の前身の海運会社「大同海運」が中国企業「中威輪船公司」と契約し、船舶2隻を借り受けた。船舶はその後、旧日本軍に徴用され、旧日本海軍が使用し、沈没した。
 船舶を貸し出した「中威」の創業者親族が、1988年、20億元(現在のレートで約330億円)の損害賠償を求めて提訴した。商船三井側は、「船舶は旧日本軍に徴用されており、賠償責任はない」と主張したが、上海海事法院(裁判所)は大同が船舶を不法占有したと認定、2007年に約29億2千万円の賠償を商船三井に対して命じた。商船三井側は判決を不服として控訴するなどしたが、2010年12月、最高人民法院(最高裁)は再審理の申請を退け、判決が確定した。
 今年に入り4月19日、海事法院は浙江省舟山市の港で同社が所有する貨物船1隻を差し押さえた。差し押さえられたのは、中国向けに鉱石を輸送する大型ばら積み船「バオスティール・エモーション」である。中国の裁判所が戦後補償をめぐる訴訟で日本企業の資産が差し押さえたことは、前例のない強硬策だった。
 こうしたなか、商船三井の対応が注目されたが、上海海事法院は24日、差し押さえを解除したと発表した。同社が供託金の納付に応じたことによるもので、公告は「判決の義務を全面的に履行した」としている。同社の支払額は、上海海事法院(裁判所)の決定に基づく約29億円に、金利分を加えた約40億円とみられる。商船三井側は当初、示談の可能性を模索するため、支払いに応じない構えだったが、船舶の差し押さえが長期間に及べば、業務に支障が出かねないと判断し、早期に事実上の和解金の支払いに応じたようである。
 日中両国政府が1972年に合意した「日中共同声明」では、中国の「戦争賠償の放棄」が明記されており、中国外務省も、表向きは、今回の訴訟は「一般の民事事件」と位置付けている。だが、船舶の差し押さえという「実力行使」は、日中戦争時の強制連行被害者らによる対日賠償訴訟の受理を認めるなど対日攻勢を強めている習近平政権の意向を反映した動きと見られる。
 今回の裁判及び商船三井の対応が、今後の日中関係に深刻な影響を与えるのは必至である。
 まず天津市では、商船三井の場合と同じように、戦時中に日本に徴用された船舶を所有していた企業家の関係者が、対日訴訟を準備していると伝えられる。損害賠償総額は400億円を上回るとみられ、戦争賠償をめぐる一連の訴訟で最高額となると見られる。
 日中共同声明に中国の「戦争賠償の放棄」が明記されているので、「一般の民事事件」として提訴すれば、裁判所に受理されやすいと関係者らは考えているようである。
 中国では、戦時中に日本に強制連行されたと主張する中国人元労働者らが日本企業に損害賠償を求める訴状を裁判所に提出する動きが相次いでいる。上海海事法院による商船三井の船舶差し押えは、被告となった日本企業を揺さぶる狙いがあるものかもしれない。今後、これ判例として、被告となった日本企業の中国国内の資産が次々と差し押さえられる恐れもがある。
 また、商船三井が中国側に対し、事実上の和解金を支払って早期決着を図ったことは、「実力を行使すれば、日本は簡単に譲歩する」という印象を中国側に与えただろう。今後、日中間の他のトラブルでも、被告となった日本企業の中国国内の資産が次々の差し押さえられる恐れがある。
 非常にまずい流れになってきている。わが国の政府は、中国側の理不尽なやり方に対して積極的に抗議し、日本企業を全力で支える姿勢を示すべきだった。商船三井の問題に関し、菅官房長官は「中国側は戦後賠償とは違うと発表しているので、分けて考えるべきだ」とし、政府がこれ以上介入する必要はないという認識を示している。だが、商船三井の問題は同社だけに終わらない。中国側は歴史認識の問題を使って、日本人の資産をむしりとろうとしている。これまでの政府の姿勢では、これに有効に対処することはできない。根本的な歴史認識の転換と私企業への強力な支援が必要である。

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