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2014年03月20日08:52

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クリミアの次は尖閣ーー中露の連携を警戒すべし

 ロシアがクリミア自治共和国の併合を決め、併合条約に調印した。冷戦が終焉し、ソ連が解体して後、旧ソ連圏で初めて、現状変更となる歴史的な事件である。クリミア併合は旧ソ連圏でドミノ現象を引き起こす恐れがある。周辺諸国はロシアの介入や親露派地域がロシアへの編入を求める動きを警戒している。
 ロシアのクリミア併合は、わが国にとって「対岸の火事」ではない。3月17日の日記に私は次のように書いた。
 「米欧のロシアへの制裁が不調に終わり、クリミア併合が行われたならば、中国はロシアの支持または黙認を確保して、尖閣諸島侵攻作戦を強行する可能性がある」と。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20140317
 だが、わが国ではこうした見方をする有識者は、まだ少ないようである。
 これに比し、欧米のメディアには、私の見方と似た見方が出てきている。産経新聞3月18日号の「日々是世界」は、「欧米メディアはオバマ政権の今後のかじ取り次第では、ロシアだけでなく、尖閣諸島を虎視眈々と狙う中国を勢いづけかねないと警鐘を鳴らしている」として、欧米メディアの記事を紹介した。長文だが、主要部分を引用する。

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 「(今回の米国の対露戦略は)いつの日にか起こりうる中国との、より大規模な衝突のテストケースになるだろう」
 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のギデオン・ラックマン記者は11日付の解説記事で、米国の対応にはプーチン政権だけでなく、中国指導部も固唾をのんで見守っていると指摘した。
 ラックマン氏は21世紀の世界では「最も危険なライバルが、そのまま重要な貿易相手になる」と指摘し、軍事的な「力の誇示」が最大の武器だった冷戦当時と現代では事情が異なると述べ、経済制裁を優先するオバマ政権に一定の理解を示す。
 それでも、これ以上、オバマ政権が手をこまねいていれば、プーチン露政権の増長を許し、ロシアによる現状変更が既成事実になりかねない。
 尖閣諸島や南シナ海への影響も必至だ。オバマ政権は「力による現状変更は認めない」と繰り返しているが、すでに中国は防空識別圏の設定で一方的に現状を変更している。軍事力を背景にした隣国への圧力に米国が何ら手を打たないことがクリミア情勢で明確となれば、中国が“次の一手”を打ってくる可能性は増してくる。
 尖閣諸島はクリミア半島と異なり、日米安保条約第5条の適用範囲であり、米国に防衛義務が生じるが、それでもラックマン氏は、クリミアでさえ手をこまねくオバマ政権が、米国にとっては「地球の裏側の無人の岩」を守るため、本当に中国と対峙するのだろうかと指摘。世界第2位の経済大国で、米国債の保有高では世界最大の中国に対し、返り血を浴びることも恐れずに経済制裁を発動できるのかとも問いかけた。
 保守系の米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」のマイケル・オースリン日本部長は、さらに強硬だ。
 5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルで、プーチン政権への強力な対抗策を見いだせずに「減少するばかりの米国の信頼性は(中露の)攻撃的な日和見主義を扇動する」と指摘。尖閣諸島やスプラトリー(南沙)諸島で軍事プレゼンスを引き上げなければ、中国の威圧に日本や他国は抵抗しきれなくなると警告する。
 ジョンズ・ホプキンズ大のエリオット・コーエン教授も米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、「ロシアが罰を受けずに(クリミア自治共和国を)引きはがすことができれば、中国が尖閣で同じことをできないはずはない」と考えるだろうと指摘した。
 ワシントン・ポストの3日付社説も習近平政権が尖閣諸島をめぐり、日本に「砲艦外交」を仕掛けていると指摘し、バラク・オバマ大統領に中露の「不品行の責任はないが、彼らが行動を起こす前に代償と対価を考慮させる仕組みを構築するため、主導的な役割を果たせるだろう」として、より積極的に圧力を加え、中露を封じ込める重要性を強調している。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140318/amr14031809060002-n1.htm
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  「日々是世界」は、このように欧米メディアの記事を紹介したうえで「クリミア半島の緊張を伝える欧米メディアの論説記事では、ロシアの行動に覇権主義をむき出しにする中国を重ね、米国に対応を迫るケースが多いのが特色。中露の覇権主義への警戒感は強まる一方だ」と結んでいる。
 紹介された記事の論調は、わが国のメディアの多くの論調よりも、クリミア問題が今後の中国の行動に影響を与えることを強く警戒している。世界全体で尖閣諸島が次の焦点として具体的に論じられている。クリミアの次は尖閣なのである。
 フィナンシャル・タイムズのラックマン記者は、「世界第2位の経済大国で、米国債の保有高では世界最大の中国に対し、返り血を浴びることも恐れずに経済制裁を発動できるのか」と書いているが、こうした経済的な観点も重要である。冷戦時代と違い、世界経済はグローバル化が進み、欧米とロシアの間でも経済的利害が複雑に絡み合っている。ロシアに経済制裁を行っても、巡り巡って、制裁する側も損害を受ける。そこに、グローバル化した世界において、領土拡張を目指す地域覇権主義に対抗するうえでの難しさがある。中国は、クリミア問題に対する欧米の経済制裁とその効果を見て、当然今後の軍事行動の参考にするだろう。中国は、ロシアより世界経済への影響力は、はるかに大きい。とりわけ米国は、米国債の多くを中国に依存している。中国が東シナ海で領有権拡大のための軍事行動を起こした場合、米国はどこまで対中経済制裁を行うことができるのかーー欧米のメディアには疑問の声が挙がっている。
 私は、だからこそ、尖閣侵攻を未然に防ぐための軍事的な抑止力の強化が必要だと考える。軍事力に対して経済制裁で対抗するには限度がある。まして軍事行動がなされた後に、経済制裁をしても、原状回復は難しい。軍事力に対しては軍事力で対抗して、その行使を抑止するのが良策である。尖閣諸島の場合、防衛上の問題はわが国にある。現行憲法第9条とその政府解釈が、わが国の防衛力を縛っており、これを改め、まず集団的自衛権を行使できるようにし、日米安保条約第5条を真に実効あるものにしなければならない。

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