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2014年03月14日08:44

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チャイナ・リスクが世界を揺るがす〜田村秀男氏

 産経新聞のエコノミスト、田村秀男氏は2月9日、「チャイナ・リスクは世界を揺るがすのか」という記事を書いた。田村氏によれば、中国経済は、借金主導経済である。「借金主導経済は不動産バブルが破裂すれば終わる」。「不動産バブル崩壊になれば、銀行の灰色(焦げ付きリスク)債権総額は17.5兆元(約300兆円)前後、中国の名目GDP(国内総生産)の約30%に達しかねない」。
 ここで田村氏が注目しているのが、「熱銭」と呼ばれる海外からの中国への投機資金である。熱銭の大半は共産党幹部の特権を背景にした国有企業などの闇資金で、香港経由でいったんカリブ海などの租税回避地に移されたあと、中国本土に外国発の不明資金として還流し、不動産や株式に投資されるという。田村氏の計算によれば、不動産市場が過熱した2011年には年間ベースで4千億ドル(約2兆6千億元)以上も流入し、12年の不動産価格急落の際には、同2千億ドル(約1兆2600億元)以上も流出した。しかし、13年の不動産相場の反転とともに、再び流入し始めた。熱銭の多くは中国ばかりでなく、他の新興国や米国など先進国市場にも向かい、引き揚げるときも同じようなタイミングになるという。
 チャイナ・マネーの投機的な動きは、サブプライム・ローン、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)等によって、世界中を狂乱のマネー・ゲームに巻き込んだかつてのウォール街の動向を思わせるものがある。
 田村氏は、「米国は2008年9月のリーマン・ショックで世界を巻き込んだ」が、「リーマン・ショック後、米国に代わって借金モデルで高度成長を達成した中国はバブル崩壊不安の段階に入ったことで、リーマン前夜の米国のような存在になったのだ。景気が回復し始めた米国など先進国も無事ではいられない。米国、欧州、日本の株式市場の乱高下の背後には「チャイナ・リスク」が取りついたようにも思える。日本はどうすべきか。国際的な投機マネーから超然とできるよう、アベノミクスを強化し、成長軌道を固めるしかなさそうだ」という見解を述べている。
 以下、記事の全文を転載する。

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●産経新聞 平成26年2月9日

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140209/fnc14020915290000-n1.htm
【日曜経済講座】
チャイナ・リスクは世界を揺るがすのか 不動産灰色債権は300兆円にも 編集委員・田村秀男
2014.2.9 15:28

 春節(中国の旧正月)の休みを利用して上海の知人Aさんがやってきた。目的は高級ブランド品。聞くと、「理財商品のおかげ」。理財商品は一種の定期預金で、多くは不動産デベロッパーが大手の国有商業銀行に理財商品を売ってもらい、調達した資金で不動産開発にいそしむ。Aさんの商品の場合、期間3年、利回りは年9.8%という。1000万円余りの投資なら、毎年100万円の小遣いだ。
 ゼロ金利のわれわれにはべらぼうだが、中国に限らず、借金で成り立つのが市場経済である。米国は住宅価格の値上がり分を担保に借り入れて家計が消費してきた。中国は企業や地方政府が不動産の値上がり予想をテコにカネを集めて開発投資する。借金主導経済は不動産バブルが破裂すれば終わる。米国は2008年9月のリーマン・ショックで世界を巻き込んだ。
 中国はどうか。不動産相場は12年に北京、上海など大都市部で前年比数10%暴落したが、13年には同10%程度値上がった。地方の中小都市の一部では高層マンション群がガラ空きで、ゴーストタウン(鬼城)化している。上海では交通が不便な郊外では値下がりが続くが、市の中心部物件の相場は高止まりしたままで、取引が停滞しているという。何やら不気味ではある。
 資産バブル崩壊は最終的に金融機関の帳尻にツケが回る。中国人民銀行によると、銀行による不動産関連融資は不動産ブームが始まった08年末から5年間で9.3兆元(約157兆円)増えた。
 中国国家統計局のデータもある。不動産関連投資の資金源別投入額で、総額は昨年1年間で12.2兆元。このうち国内銀行融資は2兆元弱である。さらに、「自己調達額」が38%、4.7兆元を占める。08年末から5年間の自己調達総額は16.5兆元に上る。これほどの巨額のカネを集められるのは理財商品以外には見当たらない。
 理財商品は主に銀行の窓口で販売されるし、その半分以上は銀行の返済保証付きである。理財商品が焦げ付いたら、銀行は約8兆元以上の保証履行を迫られる。しかも理財商品を発行する不動産デベロッパーなど企業は販売委託先の銀行とは融資を通じて密接な結びつきがある。不動産バブル崩壊になれば、銀行の灰色(焦げ付きリスク)債権総額は17.5兆元(約300兆円)前後、中国の名目GDP(国内総生産)の約30%に達しかねない。
 理財商品へのマネーはAさんのような預金者ばかりが流すわけではない。海外からの投機資金(「熱銭」)がもっと関わっている。熱銭は貿易決済や直接投資などに伴う合法的な資金以外の闇資金だが、その大半は共産党幹部の特権を背景にした国有企業などの資金で、香港経由でいったんカリブ海などの租税回避地に移されたあと、中国本土に外国発の不明資金として還流し、不動産や株式に投資される。北京は熱銭データを明らかにしていないが、外貨準備の増額分から経常収支黒字や直接投資の合計を差し引けばおよその見当はつく。その計算によれば、不動産市場が過熱した11年には年間ベースで4千億ドル(約2兆6千億元)以上も流入し、12年の不動産価格急落の際には、同2千億ドル(約1兆2600億元)以上も流出した。しかし、13年の不動産相場の反転とともに、再び流入し始めた。
 グラフは熱銭と代表的な新興国であるインドネシアとブラジルの株式など金融資産への外国からの純投資の動向を重ねている。これらのマネーの流れの変動具合が同調する傾向が読み取れる。熱銭の多くは投機資金となって中国ばかりでなく、他の新興国や米国など先進国市場にも向かう。逆に引き揚げるときも同じようなタイミングになる。
 最近の新興国の市場波乱には中国要因が必ずからむ。最近では、中国の景気指標が悪化すると、対中輸出が減るとの予想からアルゼンチン通貨ペソが暴落した。カネ、モノの両面で中国はグローバル市場の震源になるのだ。リーマン・ショック後、米国に代わって借金モデルで高度成長を達成した中国はバブル崩壊不安の段階に入ったことで、リーマン前夜の米国のような存在になったのだ。
 景気が回復し始めた米国など先進国も無事ではいられない。米国、欧州、日本の株式市場の乱高下の背後には「チャイナ・リスク」が取りついたようにも思える。
 日本はどうすべきか。国際的な投機マネーから超然とできるよう、アベノミクスを強化し、成長軌道を固めるしかなさそうだ。
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