ハマー・フィルムといえばSF/ホラー映画の名門ですが、冒険映画もあり、『魔獣大陸』はそのジャンルの代表作です。
ずっと見たかった『魔獣大陸』が、オリジナル・ネガからの2Kスキャンで国内盤ブルーレイ化されました。ハピネットの”ホラー・マニアックス”シリーズ第15弾のラインアップに乗ったものです。先月出た『火星人地球大襲撃』に続き、本作がリリースされ、来月はこれまたハマーの『ミイラ怪人の呪い』(1967)とブルーレイ化が続く予定です。
いい時代になりました。
1968(昭和43)年、イギリス映画。20世紀FOXが配給し、今回のブルーレイでもちゃんと20世紀FOXのロゴから始まる仕様になっています。
【物語】
時は現代。密輸品や、訳ありの乗客たちを乗せた貨物船が出航する。船内には、水に濡れると爆発する燐も大量に積まれていた。
やがて船は暴風雨にあって遭難し、漂流することに。たどりついた島は海図になく、不気味な生物が生息していた。
…お世辞にも大予算とは言えないハマー・フィルムの作品にしては大掛かりなセットを組んだ作品。しかし97分というコンパクトな上映時間の半分以上は、貨物船の船内で繰り広げられる人間たちの愛憎劇で、クリーチャーが登場するのはさらにその半分以下です。
監督のマイケル・カレラスはハマーを代表する映画人ですが、監督というよりはプロデューサー歴の方が長く、その演出は凡庸です。それでも面白く見られるのは、個性的な俳優たちによる愛憎劇と、出番は少ないのにインパクトは大なクリーチャーによるところが大きいです(このプロットは東宝の『マタンゴ』にもよく似ています)。
主役の船長役のエリック・ポーターは、どこかで見たことがあるなあと思って調べたら、なんとジェレミー・ブレット版「シャーロック・ホームズの冒険」でモリアーティー教授だった人。『ジャッカルの日』にも出てますが、代表作といえばモリアーティ教授です。本作では、密輸も厭わない悪人としての側面が強いので、ぴったりです。
ドイツ人女優のヒルデガルド・ネフも出ており、有名ではないもののクセのある役者を揃えています。
イソギンチャクの化け物のような怪物や、巨大なヤドカリ、サソリが一気に登場するラストでテンションが上がります。大航海時代のスペイン船の末裔が生き残っていて、異端審問みたいなことをやっているのには笑えてしまいますが、大真面目に作っているのはハマーの良いところ。たとえ低予算でも、センス・オブ・ワンダーにあふれていて大好きです。
ブルーレイの画質は上の下といったところですが、ところどころ画質が急に悪くなる(VHS並みの低画質になる)のは、公開時にカットされたフィルムを発見してつないだからだとか。そんなところもこの映画の「味」です。
★★★。
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