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2023年06月02日18:21

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技巧はあったけれど 『怪物』

先日のカンヌ映画祭で脚本賞と、もうひとつある賞を受賞した是枝監督の新作『怪物』を見て来ました。

このもうひとつの賞という奴がネタバレにもつながるような気もしますが、広く報道されたので、見る側は「ああ、そうなのか」と身構えてしまうのが難点かも。

【物語】
ある地方都市。
シングルマザーの早織(安藤サクラ)は、小学生の息子・湊(黒川想矢)が学校でイジメを受けているのではないかと伺い、校長先生(田中裕子)と面談する。やがて、担任の保利先生(永山瑛太)が、湊に対して暴力をふるっていたと謝罪し、先生は退職する。
しかし、騒ぎはそれだけでは終わらなかった。

…パズルのピースを一つずつ組み立てていくような語り口と脚本の技巧は確か。聞こえてくる音や、映しだされる風景がスイッチとなり、複数の登場人物を交錯させていくのは演出と脚本の力でしょう。役者もみんな良いです。

ただし自分に響いたかというとそうではなく、どこか醒めた感じが全編に漂い、劇中のこどもたちには希望が示唆されるのに対して、大人たちには救いがなく、重苦しさを残したまま後味の苦さを引きずります。それが是枝監督の持ち味なのかもしれませんが、自分には合いませんでした。

校長先生役の田中裕子は絶品です。
完全に目が死んでおり、声はおだやかなのに終始どす黒い表情。漂う負のオーラは、並みの女優に出せるものではありません。見事でした。

★★★。
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