スパイ・スリラー(というよりは『大統領の陰謀』や『ペンタゴン・ペーパーズ』に近い謀略露呈モノ)映画、『オフィシャル・シークレット』を見て来ました。去年のアメリカ=イギリス合作映画ですが、日本では1年遅れての公開、さらに地元ミニシアターでは本日封切りとなりました。
実話をもとにした衝撃作です。
【物語】
2003年。
イギリスの情報機関GCHQの職員、キャサリン(キーラ・ナイトレイ)は、アメリカのNSAから送られてきたメールに驚く。それは、イラク戦争に向けて準備を進めるアメリカが、国連安保理の非常任理事国の通信を傍受することに協力せよという内容だった。
衝撃を受けたキャサリンは、メールを複製し、友人経由で「オブザーバー」紙に内容をリークする。すぐに政府機関による情報漏洩者の調査が始まり、キャサリンは自ら名乗りを上げる。起訴されれば重大な反逆罪が問われることは必至だったが、人権派弁護士のベン(レイフ・ファインズ)がキャサリンの弁護に乗り出す。
…アメリカやイギリス政府の腐敗を告発する映画は多くありますが、この映画では、発生してから20年も経っていない事件をもとにしているのが驚きです。日本では到底無理な企画。しかも、ちゃんとキーラ・ナイトレイやレイフ・ファインズなどのスターが出ているのだから凄い。
派手な仕掛けやアクションもない映画ですが、演者の巧みな演技と冷徹な演出が静かに光る好編です。
主演のキーラ・ナイトレイはこれが目下のところのベスト映画。
平凡だった生活が、超大国を敵に回したことで徐々に崩壊していく怖さを、生々しく演じています。彼女の夫がクルド系移民だったことで、さらに窮地に立たされるというのも怖かった。
”M”ことレイフ・ファインズがボンド映画とは正反対の弁護士を演じていて、これもまたいい。友人の検事(久しぶりに見たジェレミー・ノーサム!)と海岸で交わすやりとりにも、静かな緊張感があって良いです。
『ノッティングヒルの恋人』で主人公の(変人の)友達を演じたリス・エヴァンスが、ここでも変人記者の役でした。
地味で飾りっ気のない映画だけれど、力のある映画でもあります。★★★★。
ログインしてコメントを確認・投稿する