これまで『超高層のあけぼの』しか見たことのなかった関川秀雄監督の2作が、たまたま別チャンネルで続けて放送されたので、偶然見ることになりました。
この2作、いずれも古い日本映画なのですが、両作品ともとてつもない映画でした。
●『ひろしま』 (1953(昭和28)年) 白黒スタンダード・ザイズ
歴史的な惨劇を写実に描いた映画は数多くあれど、広島・長崎の原爆投下を直接的に描いた作品は数えるほどしかありません。商魂たくましいハリウッドで、『タイタニック』を題材にした映画が何度も製作されているとは正反対です。
これほど生々しく、恐ろしく、実際の原爆の惨禍を生き延びた人を出演させ、魂を込めて製作された映画を初めて見ました。NHKの地上波でひっそり放送されたのを見ただけですが、フイルムに焼き付いた被爆者の痛みや恨みが壮絶で、軽々しく評論できる映画ではないのは明らかです。
公開されて間もなく封印され、近年修復されるまで存在すらあまり知られていなかった映画。
その顛末は、同時期に放送されたドキュメンタリーに詳しいです(オリバー・ストーン監督が絶賛しています)。
昨今、にわかに表現の自由が問題視されています。この映画は早々に封印され、長く人の目に触れられなかった作品です。状況は、66年前よりも悪くなっているように感じます。
★はつけられません。絶対に見るべき映画であることは間違いありません。
●『大いなる旅路』 (1960(昭和35)年東映) 白黒シネマスコープ
大正末期から昭和の高度経済成長期まで、盛岡の機関区で機関車の運転士を務めた男の一代記です。
当初、機関助手の仕事が嫌で嫌で仕方なかった主人公(三國連太郎)が、脱線事故に遭遇し、心を入れ替えて仕事に邁進するようになります。なんとその脱線事故のシーン、国鉄の完全協力のもとで撮影された完全実写です。
当たり前ですがものすごい迫力。雪崩に巻き込まれ、もうもうと煙を挙げながら貨車もろとも転落していく蒸気機関車のシーンは、CGなどでは絶対に撮れません。
この他にも、機関車を運転する三國連太郎や、ディーゼル特急「こだま」を運転する高倉健のシーンなど、当人に本当にやらせているとしか思えないシーンが続出します。
(のちの傑作『新幹線大爆破』への片鱗が伺えるようでもありました)
日本映画が本気だった時代の、壮絶なエネルギーを感じさせる名作でした。
ちょっと面白かったのが、三國連太郎と(ほぼ)同期の国鉄職員役で加藤嘉が出演していること。冒頭のシーンではかなり若いメイクをしているようで、話の流れで三国と同期だと分かり、「ええっ?」となりました。
★★★★。
…それにしても『ひろしま』。凄い映画でした。スクリーンで見られていたら、ベスト1は必須だったでしょう(順位などつけてはいけない映画ではありますが…)。
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