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2019年05月24日18:08

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クリムゾン・タイドにはなれなかった 『空母いぶき』

かわぐちかいじの原作漫画を映画化した『空母いぶき』を見て来ました。

題材が題材なだけにメジャー会社の製作ではなく、kino filmsの作品。
しかも、原作では中国が敵だったのを架空の某国に差し替えており、妙に緊張感の欠ける仕上がりが残念でした。

それでも2時間15分の大作です。


【物語】
20XX年、12月。
東南アジアに拠点を置く新興勢力「東亜連合」の船団が、日本の領海を侵犯。南方の小島「初島」を占拠し、海上自衛官を捕虜とする事件が起こる。
総理大臣の垂水(佐藤浩市)は、空母いぶきを中心とする自衛艦群を初島に派遣。しかし敵の攻撃を受け、司令の湧井(藤竜也)が重傷を負う事態となる。司令に変わって指揮を執る艦長の秋津(西島秀俊)に、副長の新波(佐々木蔵之介)は疑問を抱く。


…忘れた頃に作られる、この手のジャンルの映画(架空の有事を描いた映画)には『宣戦布告』『亡国のイージス』『感染列島』などがあり、この映画もその系譜に属する作品です。

差し迫った脅威と戦う人々を描いているのに、相手が架空の某国である点が一番痛かった。大人の事情のためとは言え、映画の肝をあえてつぶしたようで、そこは原作通りにやるべきでした。

やはりというか、実写邦画の悪いクセがここにも。
戦闘シーンとシーンの間に、思い悩む登場人物の苦悩の姿が入り込み、緊張の糸が途切れ途切れになるのが何ともまどろっこしい。反撃を是とするかどうかで自衛官が思い悩むのは当然でしょうが、娯楽映画という土台に乗っかっている以上、テンポを崩すのは勿体ないことです。

佐藤浩市の総理と、中村育二演じる副総理(兼・外務大臣)は、実際の現閣僚をモデルにしているようです。問題になっている佐藤浩市の総理像は優柔不断に見えて、実は熱いモノを持っており、ちゃんとバランスの取れた人物として演じられています。悪くはありません。

国民を守るためには攻撃も辞さない艦長=西島秀俊と、あくまで専守防衛を鑑とする副長=佐々木蔵之介の対立は面白いのですが、ジーン・ハックマンとデンゼル・ワシントンほどの化学反応は見せていません。控えめです(それでも微笑を浮かべて冷徹に判断を下す西島秀俊は、「きのう何食べた?」のシロさんとは対極を成す不気味さがあって良いです)。

コメディ・リリーフとして登場する、コンビニ店長役の中井貴一がいい味を出しています。秋公開の『記憶にございません!』では極悪な総理を演じており、こちらも楽しみです。


結局のところ、映画はやや腰砕けなクライマックスを迎えますが、その点がもっとも現実的だったりします。


★★★。
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