先日亡くなった樹木希林が出演した映画『日日是好日』を見て来ました。
ちょっと前には、こういう何もない映画を良く見ていたことを思い出しました。
『風花』『茶の味』『ジャージの二人』『全然大丈夫』…などなど。シネコン中心の映画鑑賞環境になり、ああいう何もない日本映画を見る機会も減りました。
2度も書きましたが、これは何もない(何も起こらない)映画です。こういう映画は作るのが難しい。でも、うまくできた映画は心に残ります。
これは心に残る映画です。
【物語】
大学生の典子(黒木華)は、いとこの美智子(多部未華子)とともに、お茶の先生(樹木希林)のもとで茶道を習うことに。始めは乗り気がしなかった典子だったが、複雑な所作の向こうに垣間見える何かに気が付き、以後二十数年に渡るお茶の稽古を続けていく。
…スポーツやゲームを題材にした映画ならば、終盤に大きな大会があり、主人公が勝利を収めるまでを感動的に描くところ。しかし、ここはお茶の道。ゴールはなく、淡々とした稽古の描写が続きます。
その中で描かれる四季の変化の美しさ、登場人物の動作の美しさが、静かに染みわたります。
黒木華は、生きていれば起用したかも知れない小津安二郎や、成瀬巳喜男監督の映画に出てもおかしくない美しさと気品をたたえ、適役でした(対照的な性格のいとこに多部未華子を配したのも正解)。
樹木希林の良さは言うまでもなし。病魔と闘っていることを微塵も感じさせず、素で演じているようで、それでもどこか命を削っているようにも見えました。
フェリーニの『道』が重要な要素としてセリフに登場したり、『細雪』を模したようなシーンやセリフもあるなど、大森監督のセンスの良さも感じられます。
★★★★。
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