スティーブン・スピルバーグ監督の実録政治ドラマ『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』を見て来ました。
ウォーターゲート事件の直前にニクソン政権が打撃を受けた事件を映画化したもので、そのまま『大統領の陰謀』へとつながりそうなラストを迎える作品でした。
間もなく日本公開を控える大作『レディ・プレイヤー1』と同時進行で製作され、クランクインからわずか5ヶ月で完成させたというこの映画からは、米国の現政権に対するハリウッドの危機感が見て取れます。
見ごたえのある作品です。
【物語】
1971年、ニクソン政権下のアメリカ。
”ワシントン・ポスト”紙の女性社主であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、社の株式店頭公開を控え、多忙な日々を送っていた。そんな折、ライバル紙である”ニューヨーク・タイムズ”が衝撃的なスクープを放つ。それは、激化するベトナム戦争に対する政府の内情を暴露したものであり、世論は一気に反戦へと傾くが、政府はタイムズ紙に圧力をかけ、記事の掲載を非合法化してしまう。
やがてポスト紙の編集主幹ベン・ブラッドレー(トム・ハンクス)も極秘の機密文書を入手。記事を掲載するか否かの駆け引きが始まる。
…名手ヤヌス・カミンスキーの撮影による映像は、アラン・J・パクラ監督の70年代の代表作『大統領の陰謀』を彷彿とさせ、また70年代の空気が良く出ていました(スピルバーグとカミンスキーは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』では60年代を見事に再現しています)。
記事の掲載をめぐるゲームのような駆け引きは、日本の『クライマーズ・ハイ』には敵わないものの、緊張感があります。メリル・ストリープ演じる新聞社の社主と、友人だったマクナマラ元国務長官(ブルース・グリーンウッド)のやりとりも印象的です。友人を告発する記事を出さざるを得ない立場に苦悩するストリープの演技、見事です。
対するトム・ハンクスは、70年代ならばウォルター・マッソーが演じていたであろうアクの強いベテラン編集者で、これまた好演です。
演技面ではもうひとつ、一記者を演じるボブ・オデンカークも良いです。彼の行動力がスクープに繋がることになるのですが、「小さな抵抗に力を貸すのが夢だった」と語るラストの表情には、何とも言えない”込み上げてくるもの”がありました。
★★★★。いま、こういう時代だからこそ見る映画と思います。
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