批判覚悟で申しますと、ジョン・スタージェスという監督、あまり好きではありません。
『荒野の七人』は良かったけれど、これは原典が良いから。
『北極の基地 潜航大作戦』『大脱走』『ビッグトレイル』は長い長い…。
『OK牧場の決斗』と『鷲は舞いおりた』は快作でした。
全部を見ている監督ではなく、たまたま見ているものに好みが無いのかもしれませんが、上手な監督とも思えずに今に至っています(傑作と言われる『日本人の勲章』も未見です)。
そのジョン・スタージェスが宇宙を舞台に撮った『宇宙からの脱出』をWOWOWで見ました。
VHS以来ソフトが出ていないタイトルで、若き日のジーン・ハックマンが出ているなど、気になっていた映画です。『アポロ13』と『ゼロ・グラビティ』を先行したかのような物語です。
1969年のアメリカ(コロムビア)映画。同年のアカデミー賞で視覚効果賞を受賞しています。
【物語】
アメリカの宇宙船アイアンマン1号は、3人の乗組員(リチャード・クレンナ、ジーン・ハックマン、ジェームズ・フランシスカス)とともに、宇宙ステーションでの7か月の長期滞在へと旅立つ。しかし5か月を過ぎた頃から、乗組員に疲労が目立ち始め、計画の責任者であるキース博士(グレゴリー・ペック)は予定を切り上げさせ、乗組員に帰還を命じる。
しかし、地球への帰還船にトラブルが発生。大気圏への再突入に必要な逆噴射エンジンが作動せず、修理も不能であることが明らかになる。
酸素が欠乏していく中、地上の管制室では、救助ロケットを打ち上げるという賭けに出るが…。
…物語の展開上に不合理な点が多く、後味の悪い結末を迎えてしまうという点でも、苦行のような2時間15分でした。
グレゴリー・ペックの博士が無能で、どなり散らすばかりで対策を練られず、物語はどんどん悪い方向へ。中盤では乗組員たちを「今後の計画存続のために」見殺しにしようとして、大統領にたしなめられる始末です。
救出作戦が動き出してからも、事故の隠蔽を密かに進行させるなど、これほど腹黒いグレゴリー・ペックも珍しいほど。
ストレスで発狂寸前の若い乗組員がジーン・ハックマンで、彼の行動がたびたびピンチを巻き起こすので、ハラハラさせられます。
リチャード・クレンナとデビッド・ジャンセンは主役級なのに良い見せ場はなし。
むしろ面白い役なのがジェームズ・フランシスカス(乗組員の1人)で、学者肌で唯一まともな男。この映画のあとに出た『続・猿の惑星』でも似たような役だったので、もしやこのまま助からず猿の惑星に飛んでしまったのか?と思えるほどです。
オスカーを獲得していると言っても『007は二度死ぬ』の宇宙のシーンとほぼ同じレベル。
前年の『2001年宇宙の旅』をまったく超えられていませんでした。
もしや完全版かディレクターズ・カットでも存在するのかと疑ってしまうほど、不自然に唐突に終わります。
★★。初期パナビジョンのシャープな映像だけは見ごたえあり。
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