メル・ギブソンの久しぶりの監督作であり、今年のアカデミー賞でも高い評価を得た戦争映画『ハクソー・リッジ』を見て来ました。
太平洋戦争末期の沖縄戦が描かれていますが、主題はそこにはなく、日本でのパブリシティでも意図的に沖縄戦での物語であることが隠されたような印象を受けます。
【物語】
1944年。陸軍に志願した青年デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、過去の体験と宗教的な理由により、銃を持てないでいたため、軍法会議にかけられるも、衛生兵として徴用される。
翌年、訓練を終えて沖縄に送られたデズモンドの部隊は、日本軍の猛攻により壊滅的な被害を受ける。断崖”ハクソー・リッジ”での戦闘は熾烈を極め、仲間が次々と銃弾に倒れる中、デズモンドはたった一人で怪我をした仲間の救出を続ける。
…脚本にランダル・ウォレスが参加しており、『仮面の男』や『ブレイブハート』の時のような娯楽歴史スペクタクル映画としての側面を持つ反面、監督のメル・ギブソンは、『アポカリプト』の生々しさを忘れてはいなかったようです。脚本がアメリカ映画的でも、演出は尖っています。
日本兵の描き方は往年の『ズールー戦争』でのズールー族そのもので、得体が知れず、倒れても倒れても無尽蔵に攻撃を続けてくる驚異として描かれており、人間らしい感情描写に欠けるのは難点でした。ただ一つ、重傷を負った日本軍将校を主人公が助け、将校が驚く場面にだけは、血の通った感情表現がありました。
(岡本喜八の『激動の昭和史 沖縄決戦』でアメリカ兵が正面から描かれず、意図的に避けられていたようだったのと似てはいます)
戦闘シーンの凄惨さは、このジャンルのパイオニアとなった『プライベート・ライアン』を凌ぎ、爆音と轟音、血しぶきと内臓が飛び交う壮絶なものです。そのシーンはそれほど長くはないのですが、もし上映時間の全編が戦闘シーンだったら、見ている者の感覚は麻痺するでしょう。
★★★。
ふと、同じ戦争下でアッツ島で戦っていたという祖父のことを思い出しました。
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