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2026年08月15日22:04

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日本映画最高の映画芸術『怪談 4K修復版』

オムニバス・ホラーというジャンルには傑作が多く、ポォの小説を名監督らで競作した『世にも怪奇な物語』、アミカス・プロの『テラー博士の恐怖』、そして小林正樹監督の『怪談』など、名作が多いです。

中でもジャンル映画のみならず、日本映画としても屈指の出来である『怪談』の4K修復版を、「午前十時の映画祭」にて見ることができました。スクリーンで見るのは初です(おそらく4K修復版の大規模な上映もこれが初です)。

1965(昭和40)年、東宝映画。東宝スコープ・総天然色・183分の大作です。

【物語】
(第一話 黒髪)
出世のため、妻(新珠三千代)を捨てた男(三國連太郎)。
男が久しぶりに戻ると、少しも変わらぬ妻がいたが…。

(第二話 雪女)
猛吹雪の中、雪女(岸恵子)が命を奪うのを目の当たりにした男(仲代達也)。
やがてお雪という女と出会い、子をもうけた男だったが…。

(第三話 耳無し芳一の話)
琵琶にて平家物語を語る名人の盲目の若き僧・芳一(中村賀津雄)。ある夜、貴人からの使いと名乗る男(丹波哲郎)が芳一の前に現れ、主人の前で琵琶を聴かせて欲しいと頼まれるが…。

(第四話 茶碗の中)
江戸時代、中川佐渡守の家臣である侍(中村勘右衛門 ※勘は習に元)が、茶碗で水を飲もうとすると、見知らぬ男が水に映る。侍が水を飲み干すと、今度はその男が現れて…。

…空前絶後の製作費をかけたものの興行的には失敗したとされる作品。欧米での評価が高く、ゴールデングローブ賞の外国語作品賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞している名作です。

ラフカディオ・ハーン=小泉八雲の映画化ですが、ごく普通に暮らしていた主人公が理不尽な怪異に直面する恐怖を描いており、中でも最終話「茶碗の中」が強烈です。まさに理不尽の極み。その理由も説明されない。これ以上の恐怖はありません。

巨大な目玉が空に浮かぶオープンセット(雪女)、シーンが進むにつれてどんどん腐敗していく巨大な空虚の屋敷(黒髪)など、映画美術の素晴らしさ。スコアだけでなく、音響も設計した武満徹の悪夢のような音楽も強烈です。

この映画、カンヌに出品した際に大幅なカットを余儀なくされ(雪女のエピソードを丸々カットして出品したのは有名)、その後にフィルム原版が消失し、長いこと不完全なカット版が流通しておりました。その後、日本よりも先にアメリカのクライテリオンから2Kスキャンした復元版がブルーレイ化され(日本では未だに出ていません)、今回の4K復元版が満を持して日本で製作されたという逸話があります。

そのかいあって、映像はクライテリオン盤をはるかにしのぐ高密度・高精細さ。
まず黒の黒さが全然違う。ただの黒ではない、吸い込まれそうな漆黒さがスクリーンに焼き付き、和紙に書かれたオープニング・タイトルは、和紙の目地が見えるほど。

音響も素晴らしく、「雪女」で岸恵子が子どもの着物を縫うシーンで糸が生地を通るきゅっという音まで再現されています。

60年前の映画が鮮明に蘇りました。まさに至高の映画作品です。
★★★★。
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