カズオ・イシグロの長編小説を映画化した『遠い山なみの光』を見てきました。
原作者本人もエクゼクティブ・プロデューサーとして製作に参加しています。
日本・イギリス・ポーランドの合作映画です。
【物語】
1982年、イギリス。
日本人の母(吉田羊)とイギリス人の父のもとに生まれたニキ(カミラ・アイコ)は、大学を中退し、家を引き払う準備をしている母の家へ行く。母の過去が気になったニキは、よい機会を考え、昔のことを訊ねる。
1952年、長崎。
若いころの母(広瀬すず)は、戦場から帰国してサラリーマンをしている夫と2人で暮らしている。そこへ義父(三浦友和)が訪ねてくる。
…1952年と1982年、ふたつの時代を生きる日本人女性の過去と、それを紐解く娘の物語です。母の語る日本での過去に違和感を感じ、母とのやり取りの中で、その真相に気づいてしまう、ややミステリー仕立ての作品です。
直接的ではないものの、戦後5年目の長崎が舞台になることから、原爆の悲劇が間接的に描かれます。かえってその方が想像力を刺激するので、間接的なのは効果がありました。
ふたつの国と時代を生きた母の過去は、単純に悲劇的とは言えず、また幸福だったとも言い切れない歯がゆさのようなものがあり、それが娘に受け継がれていくのが救済のようにも見えました。
★★★。
広瀬すずの和服姿は、小津安二郎の映画の女性像のようで、とても気品があり、美しかったです(それだけに、この人物のもつ暗い側面が際立ちます)。派手めの洋服を着こなす二階堂ふみとの対比も良いものでした。
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