ゲームの実写映画化であり、川村元気氏本人が監督ということで不安しかなかった『8番出口』を見てきましたが、見事にやられてしまいました。非常に面白かった。
スタンリー・キューブリック風味なところも、徹底してこだわったスタイルへの固執も、役者も音楽も好きです。これは(失礼にも)意外でした。
【物語】
派遣会社に勤め、私生活にも健康面にも課題を抱える男(二宮和也)。地下鉄を降りて、出口を目指して地下通路を歩く男は、同じところを何度もループしていることに気づく。やがて、変化の兆候である”異変”を見つけて引き返すことで、ゴールである「8番出口」に近づけると知るが…。
…フランツ・カフカ的な不条理寓話なのに、舞台は日本の都市の地下通路という親近感が怖く、またいかにも現代風の病める青年を演じる二宮和也の危うさを含んだ演技も良くて、すべてが良い方向を向いた稀有な作品。
プロデューサーや、アニメーション映画人としての活躍が目立つ川村元気氏、監督作としての前作『百花』が今ひとつだったので不安だったのですが、キューブリック風のシンメトリーな画面構成や、95分というコンパクトな上映時間をうまくまとめた演出の腕はたしかに向上しています。
ただ主人公とすれ違うだけの男を演じる河内大和の狂気のような不気味さは特筆すべきこと。シワひとつないシャツをパリッと着て、コツコツ歩いているだけなのに、目が離せなくなります。
中田ヤスタカ手がけるスコアも面白い。あの印象的なフレーズは、駅でよく聞くアレだったのか。良くアレンジされています。「ボレロ」の効果的な使い方も邦画離れしていて素敵。
黄色いエンド・クレジットはソウル・バスを彷彿とさせるし、special thanksに山田洋次監督や是枝裕和監督が名を連ねているし、映画をよく研究して消化している部分にリスペクトも感じられました。
★★★★。反論もあるかとは思いますが、個人的には今年のベストテン入り必至です。
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