北野武監督の久しぶりの新作で、しかも時代劇、それも東宝映画という異色ずくめの映画『首』を見て来ました。
奇しくも先日、同じ東宝映画の『首』をDVDで見たばかり。
古い映画と同じ邦題がふたたび付けられるのは良くあることなので、これからは『首(1968)』と『首(2023)』として区別されることになるのが少々面倒です。
【物語】
天正7(1578)年。
織田信長(加瀬亮)に対して謀反を起こした荒木村重(遠藤憲一)は、信長の激しい追撃を受け、かつての盟友である明智光秀(西島秀俊)にひそかに匿われる。光秀は、信長のあまりに暴虐な性格に辟易していた。
一方、羽柴秀吉(ビートたけし)はこれに気づき、旅芸人であり抜け忍の曽呂利新左衛門(木村祐一)を使って光秀の身辺を調査させる。やがて、運命は思いがけぬ方向へと動いていく。
…『ガルシアの首』が好きな北野武監督らしく、この作品にはサム・ペキンパーの影響もありそうです。といってもスローモーションもなく、かつてのキタノブルーのような淡い色彩もないので、まるで初めて見る監督の作品のように感じました。ただ唯一、とつぜん噴出するバイオレンスだけが北野映画らしさを語っているようです。
登場人物にはまともに感情移入できるキャラクターがほぼおらず。全員が権力と金に目が眩んでいるという点で、山本薩夫の『金環蝕』を連想させます。そんな中において、すこし離れた目線で狂気の人物たちを見つめる曽呂利新左衛門=木村祐一だけが、わずかにまともに見えます(役も演技も良かった)。
ビートたけし演じる秀吉と大森南朋の秀長のやり取りがほとんどコントで、笑いと暴力が紙一重なのがこの映画の狂気を象徴しています。
柴田理恵や大竹まことなど、意外なキャスティングも良かったです。
★★★★。
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