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2021年04月18日19:03

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65年経っても新鮮さは消えない 『ここに泉あり』

今井正監督の1955年作『ここに泉あり』が当時のロケ地の老舗映画館で特別上映され、見て来ました。

予約制の無料上映だったので、中学生からお年寄りまで観客は幅広く、上映が終わったあとは拍手喝采。驚きました。

先日の『コナン』も『エヴァ』も満員でしたが、公開から65年経っても見る人を感動させられるかは分かりません。『ここに泉あり』はそういう力がある映画でした。凄いことと思います。

1955(昭和30)年、独立プロ作品。白黒スタンダードサイズ、35ミリフイルム上映でした。キネマ旬報ベストテン第5位。

【物語】
群馬県高崎市。
もと軍の楽隊出身者などの市民によって結成された高崎市民フィルハーモニーは、マネージャーの井田(小林桂樹)の奮闘にも関わらず、経営は火の車であった。
東京から新しいバイオリニストの速水(岡田英次)を呼びよせ、東京の交響楽団と共同演奏も果たすが、県からの助成金も得られず、台所事情は厳しいままだった。
やがて速水はピアニストのかの子(岸恵子)と結婚し、楽団を去るメンバーもいたが、笑顔で演奏を聞いてくれる観客のため、骨身を削っての活動が続く。
しかし、奇跡が訪れた。ひとりの老人が楽団を訪れたのだった。その老人とは…。

…上映時間2時間30分、お世辞にもテンポが良い映画とは言えません。
しかし、山奥の寒村で初めてオーケストラの演奏を聞いた子どもたちの顔、汗水たらして働く炭焼き小屋の労働者たちが触れた生演奏、ベートーベンの第九によるクライマックスの感動は、他には代えがたいものでした。

製作時、劇中音楽は実際の高崎フィルが演奏するはずだったのが、別の交響楽団のものに差し替えられたり、ロケに協力した市民とスタッフの間には確執もあったようですが、出来上がった映画は燦然と輝く名作に仕上がっています。

岡田英次、岸恵子の爽やかさと、小林桂樹の苦労人ぶりも良かった。
加東大介、東野英治郎など、ベテランもちゃんと光っています(大滝秀治も出ていたようですが確認できず)。

今にもバラバラに分解しそうな傷だらけの35ミリフィルム上映。
何度となく上映回数を重ねてきたフィルムの重みと歴史が見られたようで、デジタル上映にはない生々しさもあり、素晴らしい映画体験でもありました。

★★★★★。本当に良い映画でした。
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