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2018年03月18日00:23

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小津安二郎と石井輝男

小津安二郎監督と石井輝男監督の映画を同日に見るという不思議な体験をしました。

ジャンルも時代も異なる2本の映画は、トンカツとカレーライスほどに違いがありますが、名人が作った名品として、十分に堪能させてくれるものでした。


●『麦秋 4Kデジタル修復版』 (1951年松竹映画 小津安二郎監督)

「午前十時の映画祭」での劇場鑑賞です。2016年に4Kスキャンで修復されたリマスター版です。
すでに見ている映画ですが、やはりスクリーンで、しかも最新技術でレストアされた映像で見られるとなると、違って見えます。

初老の夫婦とその長男(笠智衆)の家族、長女(原節子)が暮らす家族が、ある変化に直面し、次第に静かにばらばらになっていくという物語です。

テーマの一つは家族の崩壊ですが、そこに悲壮感はなく、発展的に家族の形を解消していくという点では非常に現代的です(ただ1人だけ、老いたお母さん=東山千栄子だけが寂しさをたたえて居るのが印象的)。

多彩な登場人物の中にあって杉村春子だけが感情を強く出すキャラクターで、小津映画の中では常連でありながらも、重要なアクセントになっている点から、映画演出のレベルの高さを伺わせます。

4Kスキャンによる映像は、まるで昨日撮影されたばかりの新作映画と見まごうほどです。
改めて★★★★。


●『ならず者』 (1964年東映 石井輝男監督)

『網走番外地』にもエロ・グロ路線にも開花する前の、石井輝男監督の娯楽B級大作(ほめ言葉)です。香港、マカオで大規模なロケを敢行、ただ「外国で撮っただけ」ではなく、そのロケーション効果が最大限に生かされています。

殺し屋の南条(高倉健)は、香港で標的を暗殺するも、報酬のかわりにホテルの部屋に届いていたのは女の死体だった。現地警察と地元の犯罪組織の両方から狙われる南条は、裏切り者を始末しつつ、真相に迫る。

ロケも豪華ならキャストも豪華。「ゴルゴ13」の原型のような主人公の殺し屋に高倉健(実際にゴルゴ13を演じるよりも前の作品です)。彼と敵対し、のちに味方になる犯罪組織の幹部役で丹波哲郎。高倉健を追う捜査官に杉浦直樹(!)。横浜の組織で働く女に加賀まりこ。凄い濃さ(笑)。

高倉健と丹波哲郎(のちの『八甲田山』では上官と部下)が共闘しつつのガン・アクションは、マカオの陽光あふれる通りの中でギラつき、漢気あふれる熱い場面に。

かと思えば、石井監督のこのあとのエロ・グロ路線を先取りしたかのような過激描写もあり、一筋縄ではいかない、ごった煮のような猥雑さも魅力の一つでした。

日本映画専門チャンネルで見ましたが、総天然色・シネマスコープの映像は退色も傷もなく美麗そのもの。次に放送されたら録画必至の傑作です。

★★★★。
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