市川崑監督のフィルモグラフィの中で、数少ない未見の作となっていた『古都』をやっと見ることが出来ました。
市川崑監督作品というよりも、山口百恵の引退記念映画として認知されている映画。
しかしこれは、立派な市川崑の映画です。
非常に良い映画でした。
1980(昭和55)年の東宝映画です。
【物語】
昭和29年、京都。
老舗の呉服問屋の娘、千恵子(山口百恵)は、自分が捨て子であったことを知っていたが、育ての親である母・しげ(岸恵子)と父・太吉郎(寛川延若)に愛され、平穏に暮らしていた。
ある日、山で見かけた村娘が自分にそっくりだと友達に言われ、妙な胸騒ぎを覚える千恵子だったが、祇園祭の夜、その村娘とばったり出くわす。娘は自分とうり二つであり、苗子と名乗ったが(山口百恵2役)、生き別れた双子の姉の無事を祈っていると言う苗子から、自分こそが苗子のきょうだいであると直感する。
…映画は1980年の作品で、1980年といえば金田一耕助シリーズのいったんの最終作『病院坂の首縊りの家』(1979)完成後。本作には、金田一シリーズのスタイルが色濃く反映さえれています。
極太明朝体のテロップに始まり、おなじみの出演陣たち(岸恵子、加藤武、三条美紀、常田富士夫、小林昭二…)、田辺信一のスコアなど、いつモジャモジャ頭の石坂浩二が出てきてもおかしくない布陣です。
山口百恵の主演作を見たのはこれが初めてですが、市川監督が長年ヒロイン役としてオファーしてきただけあり、良い化学反応を起こしています。クールな京ことばを話す色白な千恵子と、健康的に日焼けした村娘・苗子の2役を絶妙に演じ分けており、監督の期待に応えています。市川崑監督とはこれ1作のみというのが惜しい限りです。
一見すると、不幸な生い立ちの双子のメロドラマになりがちな物語を、スタイリッシュな演出でドライに、それでいて印象深く撮り上げた監督の腕は、本作と『細雪』とで第三の黄金期を迎えていたと言えるでしょう。
暗くなりそうな題材にも関わらず、どことなくユーモアが漂い、その根幹に主人公を支える父と母=寛川延若と岸恵子の存在がありました。娘を見つめる温かい視線は、並みの俳優にできる技ではありません(この寛川延若という人、恥ずかしながら初めて見ました。歌舞伎役者ですね)。
★★★★。
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