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2016年01月08日18:38

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スピルバーグの演出法の変化 『ブリッジ・オブ・スパイ』

スティーブン・スピルバーグの久しぶりの監督最新作であり、今年のアカデミー賞の有力候補の1つとされている大作『ブリッジ・オブ・スパイ』を見て来ました。

1960年代初頭に実際に起きた、米ソ両国のスパイ・捕虜交換事件を描いています。

【物語】
1957年。
アメリカ国内で諜報活動を続けていたソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)がFBIによって逮捕された。ベテラン弁護士のジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)がアベルの弁護人に選ばれるが、世論の激しい非難にさらされる。それでもアベルの人柄に惹かれたドノバンは、公正な裁判に尽くし、アベルを死刑から救うことに成功する。

一方、CIAの作戦でソ連領内を上空から撮影していたアメリカのU2偵察機が撃墜され、パイロットがソ連によって拘束される事件が発生。CIAからの非公式な依頼を受けたドノバンは、アベルとパイロットを東ベルリンで交換するという困難な交渉をまかされることになる。


…ソ連のスパイを演じたマーク・ライランスの演技が各方面で絶賛されており、すでにいくつかの映画賞を受賞しています。この俳優を見たのは初めてでしたが、確かに素晴らしい演技を見せています。あのトム・ハンクスとも見事に渡り合う名演で、この映画の肝がルドルフ・アデル役の俳優であることに、スピルバーグは気づいていたのでしょう。



※以下、作品の後半の展開について触れています。


そのスピルバーグの演出法がすっかり大人になっている(失礼!…巨匠の域に達している)のに気づかされます。今までの監督作品に多かった、直球で観客の涙を搾り取ろうとする演出は影をひそめ、俳優の静かな演技(とくに目の演技)に力を持たせているのが新しいのです、トム・ハンクスとマーク・ライランスは、監督の期待にしっかりと応えているようです。

映画の終盤、東西ベルリンの国境の橋で、ソ連のスパイ・アベルと、アメリカ人パイロットの交換が行われるシーン。

帰国後のアデルを心配するドノバン=トム・ハンクスに、アベル=マーク・ライランスが静かに答えます。

「歓迎されているかどうかは、国境を越えたあとで抱擁されるか、黙って車の後部座席に座らされるかで分かる」

数分後、西側の国境からそれを見つめるトム・ハンクスの表情が何とも言えません。


冷戦下のベルリンは、これまでにも数多くの映画(特にスパイ映画)の舞台となってきましたが、”壁”建設中の混乱から、建設後までを描いた作品は珍しいです。壁を越えようとして無常に射殺される市民を目撃し、ドノバンが衝撃を受けるシーンがあります。

50年前に起きた遠い昔の事件ではなく、現代にも通じる問題として描いた作品であり、圧巻でした。


★★★★。
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