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2015年10月11日22:37

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人工知能は植物の夢を見るか 『サイレント・ランニング』

SFXマンのダグラス・トランブルが手掛けた初監督作品『サイレント・ランニング』をブルーレイで見ました。DVDで持っていましたが、ブルーレイで買い増しした1枚です。

1972年のアメリカ映画ですが、日本ではすぐに公開されず、日曜洋画劇場で放送されたあとにVHS化された後、1986(昭和41)年に公開されました。

低予算で上映時間90分という小品ですが、鋭い映画です。


【物語】
環境が破壊され、動植物が死滅した近未来。
人類は生き残った動植物を巨大な宇宙船に乗せ、いつか地球を緑化させるために、宇宙で栽培を続けていた。
3隻の宇宙船のうちバリー・フォージ号のクルー、ローウェル(ブルース・ダーン)は熱心に植物の世話をしていたが、緑化計画の中止が決定され、動植物をすべて破棄せよとの命令が下る。
命令に憤慨したローウェルは、他の乗組員を殺害し、土星に向けて逃亡を図る。


…1970年代初頭のSF映画といえば、『地球最後の男 オメガマン』に『赤ちゃんよ永遠に』に、『ソイレント・グリーン』に…と、見事にディストピアSFばかり。明るく楽しいSF映画は『スター・ウォーズ』の登場まで待たねばならなかった時代です。ノー・スターで低予算なSF映画が日本での公開見送りとなったのも無理もありませんが(本国のアメリカでも短期間で上映打ち切りになっています)、今見るとかなり鮮烈な映画です。

植物を守るために仲間を殺すという主人公の心理は狂気に近いものがあり、殺した後は寂寥感に苛まされるなど、同情しがたいものがあります。それほどこの映画の舞台となる未来では動植物が貴重なものであると考えれば、納得はいくものです。

劇中、無味乾燥な宇宙食をめぐって主人公と仲間たちが口論をしますが、食に楽しさを見出さなくなった未来ほど嫌なものはないでしょう。この点は主人公に大いに同情できます。

3体のロボット、ヒューイ・デューイ・ルーイ(ルーイは途中で脱落)の人間臭い仕草も感動的です。うち1体は、無限の宇宙で植物の世話をすることになるのですが、そのラストショットは感動的でした。

ラストの主人公の行動には疑問が残りますが、土星の果てまで追ってくる地球からの追跡をかわし、植物を守るためには仕方なかったのかも知れません。

極上のSF短編小説を読んでいるような味わいがある映画です。

★★★。

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