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2015年05月23日23:27

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人工知能は夢を見るか 『チャッピー』

今日は3本の新作映画を見て来ましたが、偶然なことに3本ともSFでした。

まずはニール・ブロムカンプ監督の新作『チャッピー』です。

衝撃的なメジャー・デビュー作『第9地区』では異星人の難民問題を、『エリジウム』ではディストピアを描いた監督ですが、本作では高度な知性に目覚めたロボットを描く大作となっています。


【物語】
治安の悪化が深刻化する南アフリカ、ヨハネスブルク。
ロボット技師のデオン(デーブ・パデール)が開発した画期的なロボット警官が警察に導入され、治安は回復の兆しを見せつつあった。
デオンは新たに、ロボットに完全な自我と感情を持たせるソフトウェアを開発するが、ギャングのニンジャ(タトキン・チューダー・ジョーンズ)と恋人のヨーランディ(ヨーランディ)に奪われ、故障して廃棄予定だったロボットにインストールする羽目になってしまう。

ロボットはチャッピーと名付けられ、ギャングたちに育てられて急速に成長、子どもほどの知性を持つに至るが、デオンをライバル視する兵器開発エンジニアのムーア(ヒュー・ジャックマン)が嗅ぎ付け、危険な行動に出る。


…ニール・ブロムカンプ監督がメジャー・デビュー前に撮った、自作の短編映画を長編化したものです。自我を持ち始めたAIがテーマの映画はゴマンとありますが、ゴツいボディとは裏腹に子どもぐらいの知性を持ち、目覚めるとともに成長していくというのは珍しいテーマです。

”生まれたて”のロボットを育てるのが善良なアメリカ的家族や研究者ではなく、スラムのギャングのカップルというのも面白かった。オモチャのかわりに銃やナイフの使い方を教わり、話す言葉もスラングで、でも暴力を振るうことはプログラムに反するため、思い悩むというのも新鮮でした。

しかしそこはアメリカ映画。
人工知能が持ち始めた人間的な感情や意識を、いとも簡単にデジタル化できてしまうという映画的嘘が大前提にあるので、その点は同テーマをすでに10年前に『イノセンス』で掘り下げていた押井守や、大先輩であるスタンリー・キューブリックの”HAL-2000”こと『2001年宇宙の旅』を超えるには至っていません。

一方で、これまでの同監督の2作同様、いくつかの共通点が見られます。
南アのスラムが舞台であったり、軍産複合体が生み出す激しい格差社会批判が描かれていたりする訳ですが、前作『イリジウム』でもその社会の頂点に位置するのがジョディ・フォスターだったのと同じく、本作ではその軍需産業のCEO役がシガニー・ウィーバーです。

ヒュー・ジャックマンが悪役というのも珍しいキャスティングでした。
AIを忌み嫌い、あくまで人間が操縦する2足歩行戦車を開発しているステレオタイプな元軍人を憎らしく演じています。

チャッピーの育ての親になる2人のギャング(ワトキン・チューダー・ジョーンズとヨーランディ)は、映画で見たのはおそらく初めてなのですが、ハマリ役でした。地ではないかと思うほど、個性的で役にはまっています。

そして、そのチャッピーをパフォーマンス・キャプチャーで演じるのが、同監督とは3度目のコンビ作となるシャールト・コプリーです。

チャッピーの造形(もとは警官ロボットなのにギャング仕様のペイントやアクセサリを付けられる姿も良し)や、2足歩行戦車”ムース”の造形が良く、フィギュアが出るならぜひ欲しいところ。

ハリウッド映画の殻を破るとまでは行かなかったものの、新機軸のロボットSF映画として大いに評価したいところです。★★★★。


…この映画の本編前に『007/スペクター』の予告編が上映されました。
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