カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、アカデミー国際長編映画賞受賞など、世界的に高く評価された映画『センチメンタル・バリュー』を見てきました。ヨアキム・トリアー監督の新作です。
ノルウェー、スウェーデン、フランスなどによる国際共同制作の作品。
これは良い映画でした。
【物語】
舞台女優として成功しているノーラ(レテーナ・レインスヴェ)。母が亡くなり、その葬儀の場に、疎遠だった父グスタフ(ステラン・スカルスガルド)がやってくる。父は有名な映画監督であった。
その父から、次回作の主役にと脚本を渡されたノーラだったが、父への反発から受け入れることができず、断ってしまう。すると父は、映画祭で知り合ったハリウッド女優のレイチェル(エル・ファニング)と意気投合し、映画製作を始めるのだが…。
…役者がみんな素晴らしいです。
舞台女優として大成した主役のレテーナ・レインスヴェと、著名な映画監督の父=ステラン・スカルスガルドの、2人の”間”の取り方、微妙な空気感の演出。2人を取り持つ妹役のインガ・イブスドッテル・リッレオースの眼差し。この家族3人のそれぞれを演じる役者からこみ上げてくる繊細な表情の変化の面白さ。
ひとりハリウッドから乗り込んだエル・ファニングも素晴らしく(『プレデター:バッドランド』と同時期に撮っているのがまた凄い)、暖かく、ほんとうは自身に合っていない役なのに必死に女優としての仕事をしようとするプロの姿勢を見せてくれます。
一番ぞくっとしたのが、ステラン・スカルスガルドとエル・ファニングが脚本の読み合わせをする場面で、エル・ファニングがセリフを読み終わると、ちょっと間があって、ステラン・スカルスガルドの固まった表情のアップがあるところ。そのステランの”間”の取り方の絶妙さときたら。プロの映画監督が仕事に没頭し、我を忘れる瞬間とはこのようなものだと見せつけてくれます。
この4人のアンサンブル演技の賜物のような映画です。北欧の、ちょっと寒さを感じるような撮影で、でも役者から感じられる温かみのある映画に仕上げた、ヨアキム・トリアー監督の演出力も確かです。
★★★★。あの家も良いんだよなあ。
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