奇妙なディストピアSFをミュージカルで描いた映画『THE END ジ・エンド』を見てきました。奇抜な設定だし、アルバトロスの配給なので、あやしい映画かと思って見ていると、意外にも繊細な作品でした。
【物語】
環境が破壊され、地上から人間が消えて20数年後の世界。
地下深くの炭鉱跡に理想郷を築き、地上とほとんど変わらない生活をしている一家がいた。
父(マイケル・シャノン)はもとエネルギー会社の重役で、その妻(ティルダ・スウィントン)は芸術好き。地上を知らない息子(ジョージ・マッケイ)は、見たことのない空や海に思いを馳せている。医師や執事、付き合いの古い乳母もいた。
ある日、そこへ地上からひとりの女性(モーゼス・イングラム)が転がり込み、平和な一家の生活は少しづつ変化していく。
…地上文明が終わりを告げ、地下でかつての栄光にすがって生きる家族の物語です。俗な演出家ならば、外界からやってきた女性がもとで性的なトラブルが起こる筋書きを描くのでしょうが、そうではなく、水面のさざ波のようにゆっくりと、少しづつ、心境が変化していう繊細な物語です(しかもミュージカル)。
すこし高圧的な父は地上の環境破壊の元凶を作っていた罪悪感を抱え、母は地下避難の直前に地上に置いてきた家族を憂い、抑圧的な両親からのストレスを感じながらも成長する息子は外の世界の女性と出会う…それらが静かに描かれます。
SF好きとしては、地下施設の自給自足のエネルギー源や、食料生産の仕組み、電力供給のしくみがどうなっているかが気になるところですが、まあそのあたりは気にするだけヤボでしょう。
タイトルのとおり、中途半端な救いがないのが良かったです。★★★。
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