恥ずかしながら、このブラディ・コーベットという監督の映画を見るのは初めてでした。
俳優から監督に転身した、36歳の若き監督です。
しかし『ブルータリスト』には、熟練監督の風格すら感じられる、堂々たる大作の雰囲気を纏っておりました。
往年の70ミリ大作のように、「序曲」があり、間には15分間のインターミッションがあります。215分、ビスタビジョンの大作です。
ベネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞。
アカデミー賞にも、作品賞をはじめ10部門でノミネートされています。
【物語】
第二次世界大戦終結直後のニューヨークに、ハンガリー出身の建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)が亡命を果たす。ホロコーストを経験した彼は、妻や姪を欧州に残したままであった。大富豪のハリソン(ガイ・ピアース)から、その才能を激賞されたラースローは、フィラデルフィアに巨大な公会堂を建築するというプロジェクトを任される。
…狂気にも似た情熱をたぎらせる建築家と、病弱だが芯の強い妻、傲慢な大富豪、この3人の想いが交錯する大河ドラマです。3者のそれぞれが特定の相手に向ける性的嗜好までさらけ出し、まさに赤裸々という言葉が相応しい、生々しさがあります(そのあたりは見ていて気持ちの良いものではないです)。
赤色がほとんど登場しない、くすんだ様な色彩の撮影と、ビスタサイズの圧迫感ある画面づくりに没頭する215分間。全編通してキズのついた、フイルムのような味わいのある撮影が見事です。建築家が主人公の作品らしく、タイトル・クレジットからエンド・クレジットに至るまで意匠が施されているのもユニークな見どころです。
好きか嫌いかは別として、この風格、この演出。
ハリウッドの新しい才能を見ました。★★★。
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