ヒッチコックが続きます。
ヒッチ師匠が撮った、おそらく唯一のドイツ映画『メリー』がAmazon Prime Videoのラインナップに入っていたので、見ました。
ちょっと前に国内盤DVDも出ていて、こちらは値段が高くて購入せずにいたので、今回のAmazon Prime入りは嬉しい限りです。
映画は英国時代の『殺人!』(1930)をそのままリメイクしたもの。
当時のハリウッド映画などでは言語の異なる観客のために、同じセットで外国人の俳優を入れて他国語版を同時に製作していたので(ユニヴァーサル・ホラーの『魔神ドラキュラ』スペイン語版が有名)、本作もその走りかと思います。
ヒッチコック研究の書籍でも情報が乏しく、貴重な作品。
1930(昭和5)年のドイツ映画。白黒・トーキーです。
【物語】
劇団員たちが泊まる下宿屋で、女優のエドナが殺される。現場にいた同僚の女優メリー(オルガ・チェホワ)が逮捕され、裁判の結果、死刑判決が言い渡される。
しかし陪審員のサー・ジョン(アルフレード・アベル)は判決後も事件を疑問に思い、独自の調査に乗り出す。
…冒頭、殺人事件が起こる下宿屋の近所から次々と顔を出す隣人たち、冷徹な裁判所の様子、ブランデーの空き瓶やタバコ入れからの推理など、ヒッチコック的なビジュアル要素がちゃんと見て取れます。のちのヒッチコックの作品群で言うと”静”の部類に入る最初期の作品で、『ダイヤルMを廻せ!』がそれに近いでしょうか。
ムルナウやラングのような、表現主義的な要素もあり、同時代のヒッチコックの英国での作品群とは毛色の異なる、独特な作品です。
★★★。
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