1995年のスタジオジブリ作品を実写化した『耳をすませば』を見て来ました。
(実は、この95年作には個人的にちょっとした思い入れがあります)
ジブリ映画の実写化には『魔女の宅急便』もあり、成功が困難なのは目に見えているので、よく企画が通ったものです。
ジブリ版は、柊あおいの原作を大きくアレンジしていましたが、今回の実写版もまた原作をベースにはせず、ジブリ版をほぼ忠実になぞった上で、オリジナルストーリーを展開させています。2つの時代を行き来する演出には(驚くべきことに)ほとんど破綻がなく、この点では上手に演出されていたようです。
【物語】
1987年。読書好きの中学生・月島雫(安原琉那)は、チェロ奏者を目指す少年・天沢聖司(中川翼)と出会い、恋に落ちる。
それから10年後。出版社で編集者をしている雫(清野菜名)は、イタリアに渡った聖司(松坂桃李)と遠距離恋愛を続けていた。自身でも物語を書いている雫は、仕事との板挟みに悩み、聖司に会いにいく決断をする。
…スタジオジブリが公式に協力していることもあって、95年版と同じ衣装・同じセリフ・同じカットがあり、ファンなら喜ばしいところ。アニメーションだからこそ良かったものを、わざわざ実写化したことで生じる違和感はあります。
むしろ、1997年の描写の方がファンタジーに近く、遠距離恋愛に悩むヒロインの姿や、素敵な異国情緒にあふれまくるイタリアの描写には隔世の感があります。昔の朝ドラを見ている様でした。劇中で描かれる過去=1987年の方が新鮮で、現在=1997年の方が古く見えるという不思議な現象が起きていたようです。
主人公たちを演じる俳優には、特に不足はありませんでした。
ジブリ版『耳をすませば』を最大限に象徴する挿入歌”カントリー・ロード”を排除して、”翼をください”に差し替えたのは、勇気ある決断と褒めたいところですが、”ジェームズ・ボンドのテーマ”のないボンド映画のごとし。自分が何の映画を見に来たのか忘れてしまうという問題点があります。
★★★。
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