VHS以来ソフト化されていない超大作『漂流』が日本映画専門チャンネルで放送されたので、録画しつつ鑑賞しました。見たかった映画です。
江戸時代に起きた衝撃の実話を映画化したもので、上映時間2時間半という重量級。
監督の森谷司郎は『日本沈没』『聖職の碑』『八甲田山』などを撮った、ディザスター・パニック映画界の黒澤明みたいな人。期待が高まります。
1981(昭和56)年、東宝映画。ビスタ・サイズなのが残念でした(こういう映画はやはりシネスコが似合う)。
【物語】
天明五(1785)年、土佐沖で米を運搬していた輸送船が嵐に遭い、無人島(鳥島)に流れ着いた。生存者は4人であったが、水や食料の不足から次々と犠牲者が出て、生き残りは長平(北大路欣也)ただ一人であった。
漂着から9年後、新たな漂流者たちが島に流れ着いた。このままではまた犠牲者が出ることを悟った長平たちは、流木を集めて船を造り、脱出することを計画する。
…映画本編前に北大路欣也のインタビュー映像があり、撮影当時の苛酷さを語っておりました。さすが『八甲田山』を撮った森谷監督、この映画でも撮影は3年に及び、アホウドリの群れが登場するシーンは日本で撮影できず、スコットランドまで飛んで撮ったという苦労話も。
その甲斐あってか、荒涼たる絶海の孤島に突然放り出された江戸時代の人間たちの決死のサバイバルは迫真そのもので、見る者の胸を打ちます。
登場人物はほぼ漂流者たちだけなので、当時の邦画の慣例だったオールスター・キャストではありません(丹波哲郎も出て来ません)。北大路欣也の熱演は良いです。
ただひとつ苦言を呈すると、音楽が酷い…。
シンセサイザーのフリージャズのような軽いスコアが全編を軽快に彩り、映画の雰囲気を見事にブチ壊しています。これは同監督のこの後の『海峡』でも同じでした。そういう時代の映画とはいえ、このような自然スペクタクル映画には、やはり芥川也寸志先生のような重厚なスコアが似合ったはずです。
★★★。今の技術とVFXで再映画化しても面白い題材と思います(そんな肝っ玉のあるプロデューサーや映画会社など、今の日本には皆無でしょうけれど…)。
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