村上春樹の小説を映画化し、カンヌで脚本賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』を見て来ました。今年の実写邦画ではベストの部類に入る映画かもしれません。
上映時間2時間59分の大作です(ぜんぜん大作然としていませんが)。
【物語】
舞台演出家にして俳優の家福悠介(西島秀俊)は、演劇祭でチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を演出するため、自分で車を運転して広島にやってくる。オーディションからリハーサル、公演までの長い期間をこの地で過ごす間、自分で車を運転してはいけないことになり、演劇祭が用意してくれた運転手が付くことになった。運転手は、渡利みさき(三浦透子)という無口な若い女性であった。
お互いに傷ついた過去を抱えた2人は、移動中の車内で、しだいに心を寄せていく。
…開巻してから40分ぐらい経って、やっと出るオープニング・クレジット。全編通してゆったり流れる時間。なのに、1秒たりとも飽きさせない。俳優から滲み出る情感やセリフの一つ一つに見入り、聞き入る。漂う緊張感。切なさ。こういう映画を久しく忘れていました。子どもには分からない、大人の映画。
感情を大きく現さない主人公の2人、西島秀俊と三浦透子、この2人から目が離せません。男女の間の危うさ・脆さが終始付きまとい、最後にひとつになって溶け合う、化学反応のようなものがあって、見ている側にも静かに染み入ってきます。
村上春樹のいくつかの小説をミックスしているらしく、原作とはかなり異なる様子。
タイトルにある通り、クルマ(サーブ900ターボ)が重要な舞台となり、もう一つの主人公でもあります。クルマ映画としても映画史に残りそうな予感。
ラストは、見る者によって様々な解釈ができると思います。
こういう曖昧さを残したまま終わる映画、好きです。
★★★★。良作です。
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