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2021年06月07日00:49

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佐分利信のどす黒い悪役が魅力 『悪徳』

亡くなったおじいちゃんに似ていたこともあって、佐分利信が大好きです。
『獄門島』『不毛地帯』『地震列島』などの大作、『お茶漬けの味』『秋日和』などの小津作品もいいし、でも一番好きなのは小林正樹監督の『化石』。岸恵子扮する悪魔にフランスで付きまとわれる大企業の社長役で、シュールな不条理劇です。

監督としても10本以上の作品を残している佐分利信ですが、フイルムが現存しているものは限られています。現存作品の中でも未ソフト化の『悪徳』(1958)が日本映画専門チャンネルで放送されたので、期待して見ました。

たった2作しか製作していない「日映」の作品。1958(昭和33)年、白黒・シネマスコープ・サイズです。監督・主演は佐分利信です。

【物語】
会社内で能力を持て余している若手社員の岩瀬(木村功)は、社に押しかけてきた押し売りをぶん殴って撃退したことから、社長(佐分利信)に少しだけ認められるようになる。
岩瀬は、社長が中小企業の乗っ取りと転売で稼いでいることを知り、強引に社長に取り入った上で、法律スレスレな乗っ取り専門の裏組織の一員となる。
しかし社長は、殺人も厭わない残忍な男であった。

…表むきはマイホームパパで家族に優しく、人望もある社長=佐分利信が、実は極悪非道な暗黒紳士だったというお話です。エルマー・バーンスタインのように掻き立てるジャジーなスコアは佐藤勝。悪が主人公のピカレスク・ロマンです。

粋がる若いもう一人の主人公に、木村功。『七人の侍』とは正反対のチンピラ社員で、ケンカやゆすりに強い不良社員役というのが面白いです。

しかしその上を行く悪党が佐分利信な訳で、どちらかと言うと政界のフィクサーとか企業の重役が似合う人なので、こういう役は珍しいと思います。

無情なラストも良かった。他の監督作も見てみたいです。★★★。
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