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2020年10月16日19:30

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『スパイの妻』は映画かテレビか

黒沢清監督の最新作『スパイの妻 劇場版』を見て来ました。
ベネチア映画祭で銀獅子(監督)賞を受賞した作品です。

【物語】
1940(昭和15)年。
神戸の裕福な貿易商、福原優作(高橋一生)とその妻・聡子(蒼井優)。
ある時、出張先の満州から帰国した優作の荷物に、関東軍の重要機密があることを知った聡子はショックを受ける。2人はアメリカへ亡命し、機密情報を公開しようと密かに計画を立てるが…。

…この作品、もとは今年の6月にNHKのBS 8Kで放送されたもので、劇場公開用に編集を加えた作品の様です。街並みなどのセットや、美術装置の時代考証には苦心の跡が見られますが、テレビドラマの域を超えられていない残念さがあり、惜しいところです(高精細な8Kハイビジョンに負けているとも言えます。もっとも劇場で見る限りそれほど高精細さを感じられるほどではありませんでした)。

演出と脚本でカバーしようとした、監督の工夫は買いたいです。
主人公夫婦が映画館で見る映画が山中貞雄の『河内山宗俊』だったり、劇中に「溝口の新作を見た?」というセリフがあったり、開戦直前の、1940年頃の空気は十分に味わえます。

黒沢監督の近作で見たのが『散歩する侵略者』だったので、あの映画に比べるとわりとオーソドックスな出来。夫と妻の立場が逆転していく皮肉な構造に、この監督の「らしさ」を感じることは出来ました。

非常によくできたテレビドラマを大きなスクリーンで見ているという違和感は、終始ぬぐえませんでした。★★★。
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