剣豪・宮本武蔵が、吉岡一門と壮絶な死闘を演じ、これを打ち破ったという伝承を映画化した『狂武蔵』を見て来ました。90分ちょっとの映画ですが、77分あまりのワンカット撮影による大殺陣シーンがあり、驚異的です。
原案は園子温監督のようです。
宮本武蔵役は坂口拓。凄いです。90分間、坂口拓を見る映画です。
【物語】
宮本武蔵(坂口拓)の道場破りにより屈辱を味わった剣術の名門・吉岡一門は、門下生100人と、金で雇った野武士数百人をそろえ、武蔵が来るのを待っていた。
そこへ突然現れた武蔵は、凄まじい勢いで一門の武士たちを倒していく。
…何年か前に作りかけていてオクラ入りしていた企画を、クラウドファンディングにより資金を集め、完成させた映画。大手ならば絶対に手を出さない(出せない)企画で、今までのどの時代劇とも殺陣映画とも異なる、異質なアクション時代劇です。
坂口拓演じる武蔵は寡黙で、セリフもほとんどありません。
ただ闇雲に斬っているように見えるのが、実は(舞台となる村の要所に)替わりの刀や水筒を用意していて、20人ぐらい斬るたびに補給をする、単なる剣術の天才ではなくプロとしての一面を見せるのが良いです。
殺陣の途中でちょっと水を飲んで小休止しながら、「(敵が)いったい何人いるんだよ」「しんど…」と小声でボヤくのが可笑しかった。
最近、市川雷蔵の伝統的な時代劇映画を立て続けに見ていたせいか、この映画の殺陣の異質さは際立って見えました。勝新太郎とも、三船敏郎とも違う、本当に相手を殺しているようにしか見えない殺陣には、型の美しさなどは微塵もなく、ほとんど狂気のような殺気が籠っているように見えます。
ラストで、敵に「おまえの教義は何だ?」と聞かれ、「そんなもんねえ!」と打破する武蔵の姿に、映画のすべてが凝縮されているようです。
★★★。
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