県下最古の映画館、高崎電気館での映画鑑賞が続きます。
同館では市川雷蔵祭を上映中ですが、雷蔵映画に交じって新作・準新作映画も上映されています。
この映画館、続けて2本見たり、近隣の駐車場を利用すると、料金が大きく割引になるのが有難いです。
●『彼らは生きていた』(イギリス=ニュージーランド)
第一次世界大戦の膨大な記録フイルムと、当時の戦場で戦った元兵士たちのインタビュー音声を、ピーター・ジャクソン監督が再構築したドキュメンタリー。戦前戦後のフイルムは白黒・サイレントのままで、戦場でのシーンはカラー着色して音声も復元。100年以上前に撮影されたフイルムが、色彩とデジタル音響によって甦ります。
これまでにも白黒フイルムのカラライゼーション版は数多くありましたが、これほどまでに自然に着色されている映像は初めて。もはやほとんど違和感はありません。
ただ、記録映像として撮影されたフイルムに手を加えることは、100年前の撮影者の意図を変えることにも成りかねないので、危険性も併せ持っています。ピーター・ジャクソン監督、そのあたりは十分に承知なのでしょうが、AIによるカラー化・サウンド化には危険が伴うことも忘れてはいけないように思います。★★★。
●『歌行燈』(1960(昭和35)年大映)カラー・シネマスコープ
泉鏡花の同名小説、2度目の映画化。大映文芸路線の1作で、監督はベテラン・衣笠貞之助です。
若く才能もある能楽師(市川雷蔵)が、腕比べで伊勢の名人を死なせてしまい、路頭に迷った名人の娘(山本富士子)と出会い、彼女に舞を教える物語。
市川雷蔵の名前がクレジットの最後に出てくることからも、この映画の主役は山本富士子であることが分かります。衣笠監督は上手に2人を引き立て、共演シーンでは素晴らしい化学反応を起こさせており、どちらのファンが見ても遜色のない映画に仕上がっています。
小津安二郎も愛したアグファ・カラーによる色彩も素晴らしいです。艶やかで、色気があります。
それにしてもこの衣笠監督、アバンギャルドな『狂った一頁』から、豪華キャストのコメディ『或る夜の殿様』、本作の泉鏡花まで、何でもやる才人。白黒サイレント時代から総天然色シネマスコープの時代まで、日本映画史の黄金時代を牽引したすごい人だと改めて感心しました。★★★★。
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