いまだ記憶にも新しい、3.11の福島原発事故を描いた『Fukushima 50』を見て来ました。
この映画、日本初の本格的なドルビービジョン作品です(自分はドルビーサラウンド7.1chで鑑賞)。このことからも分かるように、あの原発内で戦っていた人たちの苦悩を描いたというよりも、パニック・スペクタクルとして仕上がっており、この点は評価するのが難しいところです。
【物語】
2011年3月11日、東日本大震災が発生。未曾有の津波が福島第一原発を襲う。
所長の吉田(渡辺謙)は、現場を無視して指示を出す東電本店との板挟みになりつつも、メルトダウンの最前線で指揮をとる当直長の伊崎(佐藤浩市)らとともに、必死で原子炉の暴走を食い止めようと奔走する。
…劇中では、東電は東電でも「東都」電力となっており、現場の混乱を無視して乗り込んでくる総理(佐野史郎)には役名もなく、ただの「総理大臣」となっています。このあたりに、見えない何かに忖度したかのような印象を受けます。騎兵隊のごとく現れるアメリカ軍も同様です。
大混乱の中、とつぜん談笑し始めたり、記念写真を撮りだす現場職員の描写に困惑しました。実際のエピソードだったのかもしれませんが、その先頭にいるのが吉岡秀隆なので、わざとらしくて違和感を感じます(吉岡秀隆が悪いという訳ではなく、その場に合わないという意味で)。
対して渡辺謙、佐藤浩市(この人もたまに演技過剰に見えるときがあるけれど)は良いです。この2人は別々の場所にいるので、電話での会話が多い中、初めてトイレで顔を合わせる場面で佐藤浩市がつぶやきます。
「俺たちはどこで間違ったんだろうな…」
禁煙の施設内で、2人で煙草を吸いながら。戦って疲れ切った男の会話です。
ラストシーンの満開の桜並木ですべて解決したような幕切れとなるのにも疑問が。まだまだ苦しんでいる人びとが多い中で、あの明るいラストなどうなのか。
事故から10年経って作られた映画ですが、さらに10年経ってみないと、評価するのは難しそうに思います。★★★。
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