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2019年01月03日11:31

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ジョージ・パルの優しさと怖さ 『ラオ博士の7つの顔』

明けましておめでとうございます。
願わくば、2019年も映画漬けの1年であればと思います。

新年早々に見た映画の1本目は、日本未公開の『ラオ博士の7つの顔』。

自身で監督した『タイムマシン』(1960)や、バイロン・ハスキンと組んで撮った『宇宙戦争』(1953)で知られるVFXの祖、ジョージ・パルの監督作品です。

ずっと見たい映画だったのですが、復刻シネマライブラリーのワーナー・アーカイブ・コレクションから国内盤DVDが出ました。日本では大昔にVHSで出たっきりの映画です。

1964年、MGM製作のアメリカ映画。日本未公開です。


【物語】
20世紀初頭、アメリカ西部の田舎町アバロン。
ラオ博士(トニー・ランドール)と名乗る中国人がふらりとやってきて、地上げ屋(アーサー・オコンネル)の嫌がらせを受けていた新聞社に、サーカス開催の広告掲載を依頼する。
やがて開かれたサーカスの出し物は、メデューサや大蛇、古代の神や預言者(トニー・ランドール7役)など奇妙なものばかりだったが、町の人びとは熱中する。
しかし一方では、地上げ屋による町の買収計画が着々と進んでおり…。


…コメディ俳優のトニー・ランドールが特殊メイクで7役に挑戦。アカデミー賞のメイクアップ部門でオスカーに輝いており、見どころの1つです(当初はピーター・セラーズがキャスティングされていたとのこと。そちらで見たかった)。

特撮映画の大家ジョージ・パルの作品なのに、大掛かりな見せ場がないなと思って見ていると、ちゃんとラストで一大特撮シーンがあります。博士が金魚鉢で飼っていたナマズが巨大化して襲ってくるという場面で、ジム・ダンフォースが手掛けており、相変わらずの迫力満点です。

20世紀初頭の米国にやってきた中国人(しかもカタコトの英語を話し、演じるのはアメリカ人俳優)という設定は、その造形も含めてステレオタイプですが、60年代の映画だからこそ許されたのでしょう。今なら差別やらバッシングやらで絶対不可能です。

異質なものが現れて町を救うという話だけ聞くと優しさを感じます。しかし、トニー・ランドールが演じた7人の登場人物たちは、それぞれに残酷さを持っており、個々のエピソードは際立っています。

出会いを夢見る中年の婦人に、サーカスの預言者が残酷な真実を告げる場面は、特撮など皆無でも怖さがありました。ジョージ・パルの黒い部分を見た気がします。

★★★。

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