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2018年11月30日18:36

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デル・トロも愛した 『裸の島』

新藤兼人監督の代表作、『裸の島』を”午前十時の映画祭”で見て参りました。

以前に見ている映画ですが、スクリーンでは初めて。
何度見ても凄い。壮絶、鮮烈な映画です。

1960(昭和35)年、近代映画協会の自主製作映画です。モノクロ、シネマスコープ作品。


【物語】
瀬戸内海に浮かぶ小さな島に、4人家族が暮らしていた。
島には水がなく、父(殿山泰司)と母(乙羽信子)は、となりの島まで水を汲みに行くのが日課だった。小学生の長男と次男も、一生懸命に両親を手伝っていた。
家族は農業を営んでいた。島の急斜面にわずかな作物を育て、毎日水をやり、収穫は地主に納めている。乾きやすい島の土は、何度水をやってもすぐに乾いてしまうのだった。
ささやかな生活の喜びも束の間、家族にある不幸が訪れる。


…シネマスコープのシャープな画面は、ギラつく太陽や働く両親の玉のような汗、乾いた土地を映し出し、その映像は58年たってもまったく色あせることがありません。

ストーリーはいたってシンプルで、ある家族の1年を描くのみ。セリフもありません。

殿山泰司と乙羽信子という希代の名優の演技と(2人の子役の健気な演技も忘れてはならない)、自然の中で必死に暮らす人間像を切り抜いた新藤兼人監督の演出は、不滅のものです。

同じ旋律を繰り返すだけなのに、喜怒哀楽のすべてを表現した林光の音楽が、頭にこびり付きます。


かつて日本には、世界に誇れる名作映画が数多くありました。
この映画も国際的に大きな評価を得ています。俳優ベニチオ・デル・トロもその1人で、映画に感銘を受けて島を訪れ、新藤監督と対面も果たしています。

果たして今、世界に誇れる映画はどれだけこの国で作られているのか。古典をしっかり見直すことに、わが国の映画史を次の世代が受け継いでいく可能性があるのだと思います。


★★★★★。欠点のない、数少ない完璧な映画だと思っています。
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