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2018年05月25日18:19

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名監督の新作映画3本ハシゴ 『ゲティ家』『犬ヶ島』『家族�掘�

リドリー・スコット、ウェス・アンダーソン、山田洋次監督の3人の新作映画を、同時に見られることは嬉しいことですが、「封切り日が重ならないようにもう少し何とかならなかったのか」という贅沢な文句はあります。

時代も舞台も表現方法もまったく異なる3本の映画です。堪能いたしました。


●『ゲティ家の身代金』 リドリー・スコット監督

1973年。世界一の大富豪、ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の孫が誘拐される。
犯人は1700万ドルの身代金を要求してくるが、ゲティ氏は支払いを拒否。自身には財産のない孫の母親(ミシェル・ウィリアムズ)は、犯人とゲティ氏との間で窮地に立たされる。

…実際に起きた誘拐事件を映画化したもので、ゲティ氏役だったケビン・スペイシーのセクハラ降板劇やミシェル・ウィリアムズのギャラ問題で何度も危機に直面した曰くつきの映画です。

ゲティ氏は全編に渡って出ずっぱりの役なので、これを撮り直すのは困難だったでしょうが、引き受けたクリストファー・プラマーの役者魂は大したものです。表面上はユーモアをにじませながら、冷酷な守銭奴をいう役を見事に演じています(劇中、彼がローマ皇帝に言及する場面がありますが、『ローマ帝国の滅亡』で皇帝コモドゥスを演じたことのあるプラマーが発すると重みが違います)。

役柄上、あまり役に立たないマーク・ウォルバーグと対照的に、ミシェル・ウィリアムズの母親は力強かったです。

市川崑監督の”銀残し”のような、抑えた色調が映画本編に冷たい印象を与えています。
リドリー・スコット監督のフィルモグラフィの中では目立つ出来ではありませんが、良作です。
★★★。


●『犬ヶ島』 ウェス・アンダーソン監督

近未来の日本、ウニ県メガ崎市。
犬に広がる伝染病対策として、小林市長は市内からの犬の追放を決定。すべての犬を、ゴミの埋め立て島へと追放する。
市長の養子であるアタリ少年は、自分の護衛犬スポッツまでもが追放されたことに憤り、スポッツを探して島にやってくる。

…ヘンテコ映画(ほめ言葉)の巨匠ウェス・アンダーソンが、日本を舞台に描いたストップモーション・アニメです。犬は日本語、人間は英語を話すという奇抜な設定の作品です(互いに意思の疎通はあまりできない)。

シネスコ画面に膨大な量の情報があふれ、スクリーンから片時も目が離せませんでした。
もとよりウェス・アンダーソン監督の作品は、どの画を取っても1枚絵のような構図の面白さがあり、絵巻物を広げていくかのように場面が変わる本作は、最初から日本的な題材だったとも言えます。

黒澤明監督の『七人の侍』のテーマ曲が何度か登場。しかしそれよりもプロコフィエフ”キージェ中尉”が頭に残ります。

今回もヘンテコ。しかも、面白い。★★★★。


●『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ�掘� 山田洋次監督

平田家に泥棒が入り、史枝(夏川結衣)が冷蔵庫に隠していたヘソクリが盗まれた。
帰宅した幸之助(西村まさ彦)が激怒し、史枝を罵ったことから、憤慨した史枝は家出を決行。
主婦を失った平田家に、崩壊の危機が訪れる。

…山田洋次監督が往年の松竹喜劇を蘇らせた、シリーズ第3弾。
1作目では老年離婚、2作目では無縁死を描き、今回は主婦の家出という普遍的なテーマを描いています。

3作目にして家族がすっかり板についた平田家の面々が今回もおもしろ哀しい。隣家を覗いているような感覚もあり、国民的シリーズ『男はつらいよ』とはまた違った趣がありました。

ベテランの小林稔侍と笹野高史は、また前作とは異なる役で登場します。

それにしても、泥棒に入られた家の悲喜劇を描いたら、山田洋次監督の右に出る者なし。
★★★。
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