自分には、「見るまで死ねない映画」リストというのがあります。
それは、フィルムが散逸したとされる『大仏廻国』『カボチャ』だったり、フィルムが全世界にたった2本しかないとされる『シェラ・デ・コブレの幽霊』だったりする訳ですが、そのリストのうちの1作『絶壁の彼方に』をようやく見ることができました。
サスペンス・ミステリー映画史の本にはかなりの頻度で登場。
和田誠と三谷幸喜の対談でも何度か取り上げられている、いわゆる”サスペンス映画の幻の傑作”です。
日本では大昔にVHSが出たっきりでTV放送も少なく、それが国内盤DVDで突然出たので、急いで予約購入したものです。
1950年のイギリス映画。翌年の1951(昭和26)年に日本でも公開されています。
【物語】
アメリカ人外科医のジョン・マーロウ(ダグラス・フェアバンクスJr.)は、東欧のボスニア国から表彰されることになり、ボスニアへやって来る。ボスニアでは、ニバ将軍による徹底した独裁体制が敷かれていた。
親善のための公開手術にのぞんだマーロウは、用意されていた患者がニバ将軍本人であることを知り、驚く。表彰は、将軍の治療のために、ガルコン大佐(ジャック・ホーキンス)が仕組んだ罠だった。
しかし、手術の甲斐もなく将軍は死亡。事情を知り過ぎてしまったマーロウは、ボスニアからの決死の逃避行をはかる。
…監督はシドニー・ギリアット。ヒッチコックの『バルカン超特急』や、キャロル・リードの『ミュンヘンへの夜行列車』の脚本を書いている才人で、このタイプの巻き込まれ型サスペンスが得意なようです。
ヒッチコックほどのビジュアル・イメージや演出のキレはないものの、架空の”ボスニア語”まで考案し、ファシズムの悪夢のようなヨーロッパの小国に取り残されたアメリカ人の恐怖を面白く描いています。
ダグラス・フェアバンクスJr.には、ケイリー・グラントのような洗練さやジェームズ・スチュアートのような演技力に欠けますが、狡猾な軍人役のジャック・ホーキンスや、うさん臭さ満点の密売屋ハーバート・ロムの好演が光ります。★★★★。
…このDVD、1930〜50年代の洋画を大量にリリースしている”ジュネス企画”から出たもので、案の定値段が高くて画質が悪い。某メーカーから出ているパブリック・ドメイン映画の方がはるかにマシ…と思わせるレベルで、酷いものですが、映画の面白さだけは救いです。
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