新作を劇場で見るのが楽しみな監督のひとり、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』を見て来ました。
IMAXカメラと65ミリフィルムで撮影された作品のため、大阪のIMAXで見る予定だったのですが、台風で大阪行きは断念。かわりに地元のシネコンで4K上映されていること確認し、それで見ることに。
映像の上下に黒い天地の出るマスキング・ビスタサイズでの4K版上映でした。
(珍しいことに、ちゃんとパンフレットにも断り書きがあります)
【物語】
1940年、フランスの海岸街ダンケルク。ドイツ軍に追い詰められた英仏両軍の将兵40万人が、この街に釘づけになっていた。海からはUボート、空からはメッサーシュミット、内陸からはドイツ軍が大挙して押し寄せる中、英仏軍の兵士たちは決死の脱出を試みる。一方、ドーバー海峡を挟んで英国本土からは、民間船が救出にやって来る。
…1964年にアンリ・ヴェルヌイユ監督×ジャン・ポール・ベルモンド主演で同じ題材が映画化された時は、フランス側からの視点でもあり、ベルモンドの飄々とした演技もあって、もっと牧歌的な雰囲気がありました。ノーラン版はまるで異なる緊張感に満ちています。
自分たちのいる海岸はだだっ広いのに、どこにも逃げ場がないという圧迫感が息苦しく、106分という短い上映時間ながらも、見終わった後は疲労感に包まれます。
従来の戦争映画のような、高級士官の目線で作戦の俯瞰が語られることもなく、一将兵・一パイロットの視点で描かれているので、枝葉がまったく無い。実在の”ダイナモ作戦”をテーマにしていても、作戦そのものを描こうとしている訳ではないので、その点では奇妙な戦争映画と言えます。
映画は、「ダンケルクの海岸に取り残された将兵」「スピットファイアのパイロット」「英国から救出に向かった民間船」の3つの場所にいた人々から描かれていて、それぞれの時間の演出のしかたが異なり、次第にクライマックスへ向けて収束していくという、これまでにあまり見られなかった手法で撮られています。この点もすごく面白かった。
そして何といっても、スピットファイアの見せ方が戦争映画史上最も格好いい。押井守監督がインタビューで、「この映画の主演女優はスピットファイアだ」と語っているのが頷けます。航続距離の短さから来る緊張感とか、他の戦争映画・空戦映画では見たことのない描写もありました。
★★★★。ノーラン監督の新たな代表作です。
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