黒沢清監督の『散歩する侵略者』を見て来ました。
去年見てベストテンに入れたディストピア映画『太陽』の原作者、前川知大の原作舞台劇を映画化したものです(なんとなく『太陽』に感じが似ているな〜と思ったら、同じ原作者でした)。
1950年代の往年の侵略SFを、現代の日本に置き換えるとこうなるという点で面白く見ました。
【物語】
夫との冷え切った関係に悩む妻・鳴海(長澤まさみ)は、ある日、病院に保護された夫・真治(松田龍平)を迎えに行き、驚愕する。真治はまるで人格が変わっており、あらゆるものに興味を示す、子供のような性格になっていたのだった。鳴海の妹(前田敦子)が2人を訪ねてくるが、真治に”ある事”をされ、妹も急に人格が変わってしまう。
一方、一家惨殺事件の生き残りの女子高生を調べていたジャーナリストの桜井(長谷川博己)は、不思議な男子高校生・天野(高杉真宙)と出会う。彼は自分を宇宙人だと名乗り、地球侵略の準備のためにやってきたのだと言う。最初は信じなかった桜井だが、やがてそれが本当のことだと気づく。
…突然変わってしまった夫に動揺する妻と、宇宙人の侵略行為に気付いたジャーナリストの物語が次第に交錯し、結実するという構成の物語です。
侵略行為自体は『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』に似ており(あの映画のラストで叫ぶ主人公が、ここでも再現されています)、『スペース・インベーダー』や『インベージョン』がミックスされ、その点に目新しさはありません。現代の日本で事態が比較的ゆっくり進行するところに面白さがあります。
キャストがいずれも適役。
冷たかった夫との関係修復を望む妻に長澤まさみ、人格が激変する夫に松田龍平(ほとんど素で演じています)。エキセントリックなジャーナリストの長谷川博己は『地獄でなぜ悪い』の映画監督を継承しているようです。
救いがあるようで、実は戦慄のラストは賛否両論でしょう。自分はこれで良いと見ました。
★★★。SF的要素やVFXを排しても面白い映画が作れることを証明しています(予算が乏しいのが実情なのでしょうが…)。
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