今まではTVなどで断片しか見たことのなかった『デューン 砂の惑星』をやっと全長版で見ました。
全長版といってもアラン・スミシー名義のTV編集版ではなく、デビッド・リンチ監督による137分バージョンです。
一般的には失敗作とされている超大作ですが、意外にも面白く見ることができました。
1984年、ユニヴァーサル配給のアメリカ映画です。
【物語】
西暦10,000年の遠い未来。
シャダム4世(ホセ・ファーラー)統治下の”帝国”では、惑星間航行に欠かせない”スパイス”の産出をめぐり、ハルコネン男爵(ケネス・マクミラン)とアトレイデス侯爵(ユルゲン・プロホノフ)が激しく対立していた。スパイスは、砂の惑星”デューン”に住む巨大な虫の胆汁から精製されており、デューンはアトレイデス侯爵の支配下にあった。
惑星間航行を司る”ギルド”の中心をなすナビゲーターは、侯爵の息子であるポール・アトレイデス(カイル・マクラクラン)が将来の脅威になると考え、皇帝にポールの暗殺を進言。ハルコネン男爵の罠に落ちた侯爵は殺され、ポールと母ジェシカ(フランチェスカ・アニス)はデューンに落ち延びる。
デューンで砂漠の民”フレーメン”に英雄として認められたポールは、フレーメンを率いて反乱軍を組織。男爵と皇帝の軍を圧倒していく。
…と、ストーリーを自分で書いてみても良くまとまってない(まとめられない)ほど、複雑極める長大な物語を、何とか苦心して2時間ちょっとに収めた奇跡のような作品です。
プロデューサーがあのディノ・デ・ラウレンティスなので、SFであってもヨーロッパ色が強く、同じラウレンティスによる珍SF『バーバレラ』を豪華にしたような仕上がり。まあ、出るわ出るわ、イタリアの名女優シルヴァーナ・マンガーノにホセ・ファーラー、マックス・フォン・シドー、ピカード艦長/プロフェッサーXになる前のパトリック・スチュワート、『ブレードランナー』でブレイク後のショーン・ヤングや、果てはスティングまで、おもちゃ箱をひっくり返したような豪華スターが続々と顔を見せます。
しかしそれらのすべてを食ってしまったのが、強烈すぎるハルコネン一族。
皮膚病で顔がただれた男爵は浮遊装置で飛び回り、男爵の甥はネズミをつぶした汁をうまそうにすする。筋肉ムキムキのスティングは顎にナイフを刺されて死亡!残酷見世物博覧会のような一大グロテスク絵巻が展開、デビューそこそこにしてこれほどの映画を撮ってしまったデビッド・リンチは、やはり只者ではありません。
信じられない大予算をかけた割には残念なVFX(合成が緩すぎる…)は手作り感満載、予算の使いどころを疑いたくなる出来栄えが逆に新鮮です。
思えば1984年のSF・ファンタジー映画は、ひたすら暗い『ネバーエンディング・ストーリー』しかり『2010年』しかり、本作も交えて暗い映画ばかり。スピルバーグ印の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が明るく楽しい娯楽特撮として大ヒットするのは翌年のことでした。
★★★。でも嫌いじゃありません(むしろ好きな類です)。
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