今年のアカデミー賞で作品賞に輝いた映画『ムーンライト』を見てきました。
主人公の母親役のナオミ・ハリス(=ミス・マネーペニー)以外、なじみのない監督・スタッフ・キャストの映画。しかしこれは、なかなか見事な作品でした。
映画は主人公の少年・青年・成人時代を3つの章立てに区切っています。
【物語】
1.リトル
薬物に依存する母(ナオミ・ハリス)と2人で暮らす少年シャロン(アレックス・ヒバート)は、小柄なことから”リトル”と呼ばれ、いじめられていた。いじめっ子たちから逃げて廃墟に紛れ込んだシャロンは、麻薬の売人フアン(マハーシャル・アリ)と出会い、自身の身を案じるフアンと心を通わせる。
2.シャロン
ハイスクールでもいじめられていたシャロン(アシュトン・サンダース)は、唯一の親友であるケビン(ジャレル・ジェローム)と惹かれ合うが、思いがけない事件が起こる。
3.ブラック
大人になったシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は麻薬の売人となり、”ブラック”の名で知られて成功していた。ある日、疎遠になっていた親友のケビンから電話がかかってくる。
…オスカーを競い合った『ラ・ラ・ランド』が、見た目は派手なのに中身はシビアな物語だったのに対し、こちらは見た目がシビアでも、中身に暖かみのある物語です。
劣悪な環境下で暮らす少年が薬物の売人へと成長し、最終的には安らぎを得るというシンプルな構造の物語。映像にも温もりがあり、タイトルの”ムーンライト”にも優しさが込められているのが分かるので、厳しい展開でも救済のある映画として心に残ります。
主人公の生き方に決定的な影響を与える売人を演じたマハーシャル・アリがとてもいい。
自らが社会悪であることを自覚しつつも、ガールフレンドや主人公の少年と暖かく接する姿が相反する複雑な役で、登場時間は短いものの、非常に印象的です。ラストの表情の切なさに、胸が締め付けられる思いがしました。
★★★。
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