今のところの今年のNo.1映画『夜は短し歩けよ乙女』がつい先日公開されたばかりの、湯浅政明監督の最新作『夜明け告げるルーのうた』を見て来ました。
やられました。『夜は短し』に続いて。これがまた何とも、見事な映画です。
【物語】
入り江の小さな漁師町に暮らす中学3年生のカイ(下田翔大)は、母と別れ、祖父と父と3人で暮らしていた。周りになじめないカイはクラスでも孤立していたが、音楽好きがきっかけでクラスメートに誘われ、バンドを組むことになる。
立ち入り禁止の岩場で練習していたカイたちは、町に昔から伝わる伝説の人魚と遭遇。人魚の少女・ルー(谷花音)は歌が大好きであり、カイたちとも仲良くなるが、人魚の存在が町に知れ渡り、大騒ぎになってしまう。
…少年と人魚の少女、入り江のある町、人魚の父が登場する話といえば、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』があります。登場人物と舞台設定のいくつかは『ポニョ』によく似ているのですが(もちろん湯浅監督も承知の上なのでしょう)、目指すべきものは全然違うようでした。
心を閉ざした少年が異形のものと出会い、打ち解けていくという物語は昔からあります。
この映画も、その域を出ていません。あえて出ようとしてはいないように見えます。
しかし、映像は驚異と興奮に満ちています。
2次元のセル風作画と3DCGのショットは自然に美しく融合し、2Dであるのにも関わらず深い奥行きを感じさせ、驚嘆させられます。これは監督の前作『夜は短し』でも感じたことですが、湯浅監督は2作続けてアニメーション映画の表現の可能性を深めたと言えます。
自由自在に動き回るキャラクターは、「毛の1本1本までリアルに見せる」ディズニー映画とは対極にあるアナログさなのに、アメリカ製CGアニメのキャラクターよりもはるかに面白く、生き物以上に生き物らしく、優しさに満ちています。
人魚の少女ルーの「人間と異形のものとの境目にある存在感」ははかなく、見ているだけで心配になるほどなのに、見るほどに惹きつけられていきます。
絵に、映像に、力が宿っています。
だからこそ、シンプルで王道な物語でも、これほどに魅力的なのです。
★★★★。
今年のベストテンがまた一つ入れ替わりました。
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