むかしVHSとLDでソフトが出たっきり、DVDにすらなっていない大作時代劇『人斬り』をWOWOWで見ました。
日本映画の斜陽初期、映画製作に乗り出したフジテレビが『御用金』に続いて製作した超大作です。
主演をつとめた勝新太郎率いる勝プロダクションとの共同製作によるもので、監督は五社英雄、脚本は橋本忍という豪華版です。原作は司馬遼太郎の「人斬り以蔵」。
1969(昭和44)年、大映配給。ハイビジョン・マスターによる映像は美麗でした。
【物語】
幕末。土佐藩士の岡田以蔵(勝新太郎)は、剣術の腕がありながらも、生活に困窮する日々を送っていた。藩内の実力者、武市半平太(仲代達也)は岡田の腕を認め、暗殺者として重宝するようになる。
やがて武市は京でも認められる存在となり、岡田も人斬りとして名を馳せるようになるが、異端の藩士・坂本竜馬(石原裕次郎)には人斬りをやめるよう忠告を受ける。ライバルの剣豪・田中新兵衛(三島由紀夫)との出会いや、坂本との邂逅の中で、岡田の内面にも変化が現われるが、ある事件をきっかけに、恩師・武市との間に溝が生じる。
…『座頭市』『悪名』『兵隊やくざ』でのダイナミックな勝新太郎を期待して見ると、あまりの違いに衝撃を受ける”真面目な”史劇です。違うのは演出だけではなく、殺陣にもあり、美しさや華麗さを感じる勝新太郎の殺陣はこの映画にはなく、ひたすら無様で血なまぐささを強調し、血や泥にまみれていく姿には、リアルさを通り越して恐怖を感じました。
今までとは違う映画を撮るのだという勝新太郎の意気込みが良く伝わってきます。
スタッフ以上に豪華な出演陣も、黄金時代末期の日本映画最後の咆哮のようで、熱いものでした。石原裕次郎の坂本竜馬はイメージと大きく異なりますが、沈着冷静に幕末の日本の将来を憂う姿が印象的です。
虎視眈々と藩内の政敵を粛清していく仲代達也は、やはり最高。
ほとんどまばたきをしない不気味な剣客、三島由紀夫も強烈です。
2時間20分という長尺に、やや冗長さも感じますが、日本映画転換時代のマイルストーン的作品として、映画史に残る作品と思います。
★★★。
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