これまで国内では見る機会があまり無く、リバイバル上映もほとんどされない2本の戦争映画をDVDで入手しました。
そのうちの1本目が、深作欣二監督が東宝で撮った『軍旗はためく下に』(1972年)です。
この映画、「アナーキー日本映画史」(洋泉社)でも紹介されており、ずっと見たかったもの。
それがディアゴスティーニから出た「東宝・新東宝 戦争映画DVDコレクション」から突然出ました。
東宝映画なのに(正確には新星映画)東宝からはDVDが出ず、ディアゴスティーニが出してくれた作品には珍品が多く、またいつ廃盤になるか分からないので、慌てて購入したものです。
かなりショッキングで鮮烈な内容なので、上映もソフト化もされなかった理由が分かります。
1972(昭和47)年、新星映画作品、東宝映画配給。
【物語】
昭和46年。戦争未亡人のサキエ(左幸子)が厚生省を訪れる。
目的は、敵前逃亡の罪により処刑されたという夫(丹波哲郎)の死の真相を明らかにするためであった。厚生省の役人から、夫と同じ部隊にいたという4人を紹介されたサキエは、その4人を1人ずつ尋ねて歩くが、思いもよらぬ夫の衝撃的な過去を知らされる。
…『トラ・トラ・トラ!』の監督料をすべてこの映画の映画化権購入につぎ込んだというだけあって、深作欣二の思いは並々ならぬものがあったようです。事実、戦争描写の凄惨さは壮絶そのもので、それなのに映画自体の語り口は妙に落ち着いているため、かえって異様な緊張感を生んでいるのが特徴です。
戦時下の夫の行為が、関係者の証言から浮かび上がってくるという構図のため、この夫というのがどういう男だったのかは分からないままです。ですがその点はさして重要ではなく、いつの時代も戦争の最大の犠牲者は市民であるというメッセージが、決して声高にではなく主張され、鬼気迫るものがありました。
ラストのサキエの台詞に、監督の戦争への思いが込められています。
そしてこの映画から1年後、深作欣二は『仁義なき戦い』を撮るのです。
★★★★。
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